【10月16日 AFP】サメのメスがオスと交尾せずに妊娠していたことが確認され、科学誌「Journal of Fish Biology」の10月号で報告された。サメでこうした例が確認されたのは、今回で2回目となる。

 このサメは、米バージニア(Virginia)州の水族館で飼育されていたカマストガリザメの「ティドビット(Tidbit)」で、ティドビットは8年間飼育されていたが、その間オスと交尾をしたことは一度もなかった。

 論文の主執筆者、ニューヨーク州立大学ストニーブルック校(State University of New York at Stony Brook)海洋保全科学研究所のデミアン・チャップマン(Demian Chapman)博士は、サメの死後、胎内にいた子どものDNA検査を実施した結果、単為生殖だったことが確認されたと明らかにしている。単為生殖とは、卵子が精子と受精せずに個体へと発育することをいう。

 近年、サメの単為生殖とみられるケースは10例以上報告されているが、実際に確認されたのは今回で2例目。1例目は、2007年5月に、ネブラスカ(Nebraska)州オマハ(Omaha)の水族館で飼われているシュモクザメで確認された。このサメは、3年間オスとの接触がなかったが出産した。

 交尾時の精子が子宮内に長期にわたり保存され、ある日突然妊娠したとする説もあるが、科学者らは今回の例は単為生殖の可能性が極めて高いとしている。

 一般的には、単為生殖は、クモやムカデなどの一部の昆虫や甲殻類でのみ発生すると考えられている。(c)AFP