【9月26日 AFP】メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corp)傘下のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手マイスペース(MySpace)は25日、無料インターネットラジオとコミュニティーサービスを組み合わせた新たなオンライン音楽サービス「MySpace Music」を開始した。

 マイスペースは、有名無名を問わず多くのアーティストやファンが集まるスポットとして人気を集めてきた。「MySpace Music」は、それをさらに一歩推し進めるサービスとなっている。

■無料ストリーミング配信と楽曲のDRMフリー販売を展開

 MySpace Musicの最初の展開としては、広告付きの無料ストリーミング配信が開始する。プレイリストの作成が可能で、また、インターネット通販大手の米アマゾン(Amazon)が提供するオンライン音楽配信サービス「Amazon MP3」から楽曲の購入もできる。

「Amazon MP3」で購入した楽曲は、DRM(デジタル著作権管理技術)フリーで提供されるので、米アップル(Apple)の携帯音楽プレーヤー「iPod」などへ自由にコピーや移動ができる。

 マイスペースの製品戦略担当上級副社長スティーブ・ペアマン(Steve Pearman)氏は、AFPの取材に対し、楽曲のコピー防止機能は「購買意欲を奪い、違法ダウンロードへと人を向かわせる」と述べ、「無料でストリーミング配信し、コピー可能な楽曲を販売することで、ビジネスの可能性が広がる」と語った。

 マイスペースは、同社の「画期的な共同事業」のパートナーとして、EMIミュージック(EMI Music)、ソニーBMG・ミュージックエンタテインメント(Sony BMG Music Entertainment)、ユニバーサル・ミュージック・グループ(Universal Music GroupUMG)、ワーナー・ミュージック・グループ(Warner Music Group)、The Orchardなどを発表した。

■配信サービスを超えた音楽コミュニティーを狙う

 「MySpace Music」では、アーティストや音楽スタジオが、楽曲、ツアー、記念品や企業スポンサー、その他の「Eコマース」サービスで収入を得られるよう支援するソフトウエアが提供されている。

 ペアマン氏によると、マイスペースは、アーティストらにとって、発掘され、プロモーションを行い、生活費を稼ぐための場として、活気のある場所という評価を得ている。
 
 また、「MySpace Music」利用者が収集した楽曲はサーバー上に保管され、インターネットを経由してどこからでも再生することができる。また、SNSサイトで友人とプレイリストを共有することも、逆にプレイリストを他人に非公開にすることもできる。

 マイスペースは、友人などの趣味の楽曲を聴いてみたいという人は多いとみている。インターネットラジオの提供している典型的な楽曲推薦サービスでは、利用者が好きなアーティストと似たタイプのアーティストを紹介するが、「MySpace Music」では、新たな楽曲を見つけるために、利用者の友人の情報を活用する。

 ペアマン氏は、「われわれは、利用者が作成するコンテンツに注目してきた。次は、利用者が編集するコンテンツに注目する」と語った。

 「聴き放題」の楽曲を無料で聴くだけでなく、利用者とアーティストの関係を築くことや、友人と新たな楽曲を共有したりすることのできる場所をオンライン上に生み出すことが、マイスペースの狙いだという。

 ペアマン氏は、インターネットラジオと「MySpace Music」を比較して、「コンテンツを中心にコミュニティーをつくることは難しい。コミュニティーに音楽を提供する方が筋が通っている。われわれは、そういう方針で進める」と話した。

 米国で25日に開始した「MySpace Music」は、英語とスペイン語で提供される。米国以外には順次展開する。(c)AFP/Glenn Chapman