【9月25日 AFP】23日に開幕の第6回バンコク国際映画祭(Bangkok International Film Festival)で予定されていた日本映画『闇の子供たち(Children of the Dark)』の上映が、中止されることになった。主催者側が同日明らかにした。

 この作品の監督は阪本順治(Junji Sakamoto)氏。売買春や臓器移植のために売られるタイの貧困層の子供たちの現状を、現地の日本人記者やボランティア女性の目を通して描いている。

 芸術的価値が認められて上映が決定されたが、開幕の数日前になって主催者側が態度をひるがえした。映画監督で映画祭の芸術監督を務めるヨンユット・トンコントーン(Yongyoot Thongkongtoon)氏は「映画監督としての立場から言えば、この作品がおもしろく、極めて良くできていることは認める。しかし観客が映画から正しくメッセージをくみ取れるかはわからない。厄介な問題が起こるかもしれない」と話した。

 映画祭のディレクター、Jareuk Kaljareuk氏は、映画の撮影がタイ国立映画協会に無断で行われたことを指摘し、映画のテーマは「少々センシティブだ」と付け加えている。

 この件に関し、阪本氏側からのコメントは出ていない。

 同映画祭は前年、バンコクのイラン大使館の要請を受け、イランのアニメーション映画『ペルセポリス(Persepolis)』の上映を取り止めている。釜山国際映画祭(Pusan International Film Festival)に対抗することを目指して創設されたが、資金力は年々低下している。今年の映画祭には、海外のビッグネームの参加が1人も予定されていない。(c)AFP