【9月4日 AFP】ディック・チェイニー(Dick Cheney)米副大統領は3日、アゼルバイジャンを訪問、同国のイルハム・アリエフ(Ilham Aliyev)大統領と会談した。

 チェイニー副大統領は、米政府は旧ソ連圏のカフカス(Caucasus)地方に「深い」関心を寄せているとし、同地方は発展させるべき重要なエネルギー経路だと語った。

 チェイニー副大統領は「ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は、アゼルバイジャンおよびカフカス地方全体の人びとに、シンプルかつ明確なメッセージを届けるためにわたしを派遣した」と述べた上で、「米国は、カフカス地方の人びとの幸福と安全に、持続的で深い関心を寄せている」と語った。

 さらに、「エネルギー安全保障はわれわれすべてにとって必要不可欠なもので、この問題の緊急性が急速に高まっている」と指摘し、カフカス地方や中央アジアのエネルギー資源へのアクセスが米政府の最重要課題となっていると語った。

 チェイニー副大統領は「トルコも含めた欧州諸国と連携し、エネルギー資源の自由な流通を確実にする新たなエネルギー輸出ルートに関して、アゼルバイジャンをはじめとするカフカス地方や中央アジアの各国と協力していかなければならない」と語った。

 チェイニー副大統領は、8月のグルジア紛争以来、カフカス地方を訪れた最も高位の米政府関係者となる。

 前日にはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相がウズベキスタンと中央アジアでの新たなパイプライン建設で合意した。

 チェイニー副大統領のこうした発言は、ロシア政府がカフカス・中央アジア地方の政治や天然資源に対して再び影響力を及ぼそうとしている動きをけん制しようとする米政府の意図を明白に示している。

 一方ロシア政府は、グルジア国民に対するビザ発給を一時停止するとともに、グルジアからの撤退についてフランスが仲介した和平協定が完全に履行された場合にのみ行うと発表。カフカス地方をめぐって米露間の緊張が高まっている。(c)AFP/Kerry Sheridan