【9月3日 AFP】ハリケーン「グスタフ(Gustav)」が1日に上陸した米ルイジアナ(Louisiana)州ニューオーリンズ(New Orleans)。市民がこぞって避難するなか、果敢にも営業していた1軒のバーがある。洪水、停電、断水、略奪など混乱を極めた3年前のハリケーン「カトリーナ(Hurricane Katrina)」上陸時にも閉じなかったことで有名なバーはこの日、大勢の客でにぎわった。

 観光名所となっている旧市街のバーボン・ストリート(Bourbon Street)にあるバーの名前は「Johnny White’s」。こぢんまりとした店内には、「当店は決して休業いたしません」の貼り紙が。しかし、すべての扉に木を打ちつけるなど、「グスタフ」対策は怠りない。

 唯一木を打ちつけていない表の扉からは、酒飲みたちが、避難所を見つけたかのように続々と入ってくる。レイ・ネーギン(Ray Nagin)市長が出した避難命令が発効した31日には2000人が来店した。「みんなとても陽気で、マルディグラ(Mardi Gras)のようだったわ」と、バーテンダーのステファニーさんは語った。

 常連客のケリーさんは、カトリーナが上陸したときもこの店にいた。「あのときも大いに楽しんだわ。まあ、その後あちこちで大変なことになったから、最終的には店を出ざるを得なかったけど。ここ(=旧市街)は、市内でいちばん海抜が高いから、洪水は起きないの」

 小型犬を膝に載せ、モハメド・アリ(Muhammad Ali)の壁画を背にしてカウンターに陣取っているマークさんが、「ここにいれば、われわれは安全さ」と割って入った。

 ハリケーンは初体験という別の男性客は、ポーカーマシーンにコインを入れながら「あすもここに来るさ。どうせ死ぬんならカネを使っといた方がいいだろう?」と話した。(c)AFP