【9月2日 AFP】映画『クイーン(The Queen)』でエリザベス女王(Queen Elizabeth II)を熱演し、アカデミー賞主演女優賞を獲得した英国の女優ヘレン・ミレン(Helen Mirren、63)が男性誌「GQ」10月号で、女王本人との対面のエピソードから、過去のドラッグ吸引やデートレイプ被害についてまで赤裸々に語っている。

■30代後半まで続けていたドラッグ

 インタビューによれば、ミレンは30代後半までパーティーなどで少量ではあるがコカインを吸っていた。やめるきっかけとなったのは、『リヨンの虐殺者(Butcher of Lyon)』と呼ばれた元ナチス(Nazis)親衛隊員のクラウス・バルビー(Klaus Barbie)が、1983年にボリビアで逮捕されたことだという。バルビーは戦犯として国際指名手配されていた間、潜伏先のボリビアでコカイン取引に手を染めていたとされる。

「新聞でその記事を読んだとき、私がパーティーで吸っていた少量のコカインが、南米のこの最低な男に直接つながっていたことを知って、その日から二度とコカインには触らなかったわ。そのときまで、英国のパーティーで私たちが吸っていたコカインがどこからどうやって来るのかなんて、考えたことがなかった」

 当時、ミレンはマリファナは嫌いで、幻覚を起こすLSDを使用したこともあるが、最悪な体験だったと語っている。

■エリザベス女王との対面

 さらに王室ファンではなかったミレンが、エリザベス女王を演じてファンに転じた女王本人との対面についても語っている。

 ミレンはオスカーを受賞後の2007年5月、女王に招待されたバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)での夕食会を映画撮影のために辞退しており、今年6月に行われた王室主催の競馬レース「ロイヤルアスコット(Royal Ascot)」でようやく女王に会うことができた。

「女王がしっかりと気を保ち続けてきたことは奇跡だわ。自分で選んだわけでも、特別に望んだわけでもない人生で素晴らしいことを成し遂げた非凡な人よ」と女王を絶賛した。

 ロイヤルアスコットでは女王から「こんにちは。お目にかかれてうれしいです」と話し掛けられ、馬に関して少々会話しただけだったというが、それが「私たちはあの映画が良かったと思っています」と告げられたように思え、ミレンは自分にとってはそれで十分だったと語っている。

■デートレイプ被害

 GQのインタビューではさらに、若いころのデートレイプ被害についても明かしている。修道院付属学校で守られるように少女時代を過ごしたミレンは、男性に反抗する勇気を持っていなかったという。

 殴打など激しい暴力を受けたことはないが、デート相手に部屋の鍵を掛けられて閉じ込められ、意思に反した性的関係を強要されたことが数回あったという。

 ミレンは、デートレイプは「狡猾で、暴力が含まれなければ警察への報告も難しい犯罪」だと非難し、「マイク・タイソン(Mike Tyson)が強姦をするとは、彼を見ただけでは思えないでしょう」と訴えることの難しさを語った。

 ミレンは、女性が自発的に男性の寝室に入り、自分で服を脱ぎ、ベッドで相手と性的行為を始めたとしても、女性には最後の瞬間まで拒否できる権利があり、男性がそれを無視すればレイプになると述べている。

 しかし「そうした状況から、女性が相手を裁判に持ち込むこともできると思えない」とも語った。ミレンも警察へ通報したことはなかったという。時代的にも「当時はそんなことはできなかったわ」。

 よくセックスシンボルともみなされてきたミレンはこう続けた。「私には何らかの魅力はあるかもしれない。その一部は性的なものかもしれないけど、私は美人ではないわ」。(c)AFP