【8月28日 AFP】中国政府は28日、イラク政府と中国石油天然ガス集団(China National Petroleum CorpCNPC)がバグダッド(Baghdad)南方のアルアーダブ(Al-Ahdab)油田開発プロジェクトを30億ドル(約3300億円)で契約することに合意したと発表した。

 契約はイラクのフセイン・シャハリスタニ(Hussain al-Shahristani)石油相の中国訪問に合わせて締結された。外国企業がイラクとこうした契約を交わすのは、2003年の米軍進攻によるサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権の崩壊後初めて。

 中国はフセイン政権時代の1997年に7億ドル(約760億円)で23年間のアルアーダブ油田の開発権を獲得。完成時の生産能力は日量9万バレルと期待されていたが、フセイン政権に対する国連(UN)の制裁措置や米軍進攻後の治安の悪化などで、開発計画は凍結されていた。こうした経緯から、CNPCが新たに開発契約を締結するものとみられていた。

 シャハリスタニ石油相に同行した同省高官によると、3年以内の操業開始を目指し、20年間にわたり石油生産が見込めるという。

 今回の契約は、中国側は権益を持たず、開発に貢献した石油会社に一定の金額が支払われるサービス契約であるため、中国側にとって必ずしも有利とはいえない内容だ。これについて宏源証券(Hongyuan Securities)のアナリストは、経済発展に伴い1990年代に石油の純輸入国に転じた中国は、石油資源を確保するため相当の譲歩を受け入れる用意があったはずだと分析する。

 現在イラクは、米軍進攻以前と同水準の日量250万バレルの原油を生産しているが、イラクは外国資本を導入して日量で50万バレル増産したい考えだ。イラク石油省は6月末、国内6か所の油田と2か所のガス田の入札(いずれもサービス契約のみ)に外国企業41社を参加させると発表した。外国企業にイラク国内でエネルギー事業への門戸が開かれるのは36年ぶり。

 一方、CNPCは契約内容の詳細については明らかにしていない。(c)AFP/Fran Wang