【8月27日 AFP】(一部更新、写真追加)アフガニスタン東部で日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の農業専門家、伊藤和也(Kazuya Ito)さん(31)が誘拐された事件で、事件が発生したクズクナル(Kuz Kunar)の地区長は27日、アフガニスタン警察が日本人男性の射殺体を発見したと発表した。

 この地区長が遺体発見の数分後にAFPに語ったところによると、遺体は誘拐された伊藤さんとみられ、銃で数発撃たれた跡があるという。またこの地区長によれば、伊藤さんとともに誘拐され、数時間後に解放された伊藤さんの通訳兼運転手のアフガニスタン人も、伊藤さんの遺体を確認したという。遺体が発見された山のふもとにいた警察の報道官はAFPに対し、遺体は伊藤さんのようだが、確実に断定するため遺体を直接見るのを待っていると述べた。

 一方、首都カブール(Kabul)の日本大使館職員は、アフガニスタン当局から、伊藤さんが武装勢力に殺害され遺体が発見されたとの連絡を受けたことを明らかにした。

 東京では27日午後、山本一太(Ichita Yamamoto)外務副大臣が記者会見し、アフガニスタン当局から日本人とみられる男性の遺体が発見されたと伝えられたことを明らかにし、遺体はアフガニスタン東部のジャララバード(Jalalabad)に搬送中で、日本の大使館員が確認のためジャララバードに向かっていると述べた。

 伊藤さんが所属するペシャワール会の現地の幹部の1人も伊藤さんの死亡を確認した。ナンガハル州のペシャワール会の副責任者Noor Zaman氏は「警察が伊藤さんを発見したが、残念ながら死亡していた」とAFPに語った。

 ペシャワール会によると、伊藤さんは26日、アフガニスタン東部のナンガハル(Nangarhar)州で建設中の灌漑(かんがい)施設の点検に向かった際に誘拐された。

 同事件では26日、アフガニスタン内務省が治安部隊や地元住民500人を動員した捜索作戦で伊藤さんを解放したと発表したが、後に誤報だったとして発表を撤回した。

 一方、旧支配勢力タリバン(Taliban)も26日、傘下の武装グループが伊藤さんを誘拐したが、伊藤さんは治安部隊との銃撃戦に巻き込まれて死亡したと発表している。

 ペシャワール会は医師の中村哲(Tetsu Nakamura)氏が海外での医療活動支援を目的に設立したNGOで、アフガニスタンやパキスタンで20年以上にわたり活動を続けている。2001年にタリバン支配を終結させた米国のアフガニスタン空爆にも、強硬に反対した。(c)AFP