【8月26日 AFP】気候変動は、北極圏の永久凍土に閉じこめられている大量の二酸化炭素を大気中に放出させ、温暖化の悪循環に拍車をかける。アラスカ州立大学フェアバンクス校(University of Alaska Fairbanks)の研究チームが、24日の科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」にこのような論文を発表した。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今世紀末までに北極地域の気温は最大で6度上昇すると予測している。一方、研究チームは、こうした気候変動モデルについて「地球の地表の5分の1を覆う永久凍土に閉じこめられている有機炭素を考慮していない」と指摘している。

 科学者らは、永久凍土が溶けた場合にはこうした有機炭素が温室効果ガスとして大気中に放出されると考えている。これまでは永久凍土に閉じこめられている有機炭素の量を、北極圏外で地下40センチから採取された数少ない土壌サンプルを基に推定していた。

 研究チームは今回、永久凍土に覆われた北米の117か所で地下1メートルから土壌を採取した。その結果、北米の永久凍土に閉じこめられている炭素の量は、予想を60%も上回り、大気中の全炭素量の6分の1になることがわかった。研究チームは、欧州とロシアの永久凍土にも、同じようにかなりの量の炭素が閉じこめられているとみている。(c)AFP