【8月20日 AFP】ジンバブエの政府系日刊紙ヘラルド(Herald)は19日、同国の6月のインフレ率が年率換算で1120万%を記録したと報じた。ジンバブエでは、前年の大統領選に端を発した政治的混乱が続いており、同国経済の崩壊を加速させている。

 同紙によると、6月のインフレ率は、5月の223万3713.4%から903万5045.5ポイントも上昇したことになるという。

 その一方で、公式インフレ率は実際のものよりも大幅に少なく見積もられているとの見方が一般的だ。非政府系エコノミスト、ジョン・ロバートソン(John Robertson)氏は、実際の6月のインフレ率を4000万%だとする見方を示した上で、「7月の実際のインフレ率は3億%、8月は6億%になるだろう」と語った。

 ある村では、石けんとコーンを交換するなど物々交換の時代に逆戻りしている。もちろん、食事の回数も減っている。以前は穀物販売で得た収入を貯金していた村人たちも、今では現金を受け取ることを拒否している。買い物に行こうにもバス代を払うことができないし、なにより、商店に到着するまでに間に持っている紙幣が紙くずになってしまうことを恐れているのだ。

 ヘラルド紙は最近、インフレ率の高騰に関してある男性の話を報じた。この男性は10年前、退職金を定期預金に預けていた。最近になって預金を引き出しにいったところ、今月から通貨ジンバブエ・ドルの単位を100億分の1に切り下げるデノミネーション(通貨呼称単位の変更)が行われたことから、預金が1セント(約1円)分の価値しかなくなっていたという。
 
 かつては、模範的な経済と豊かな穀倉地帯でうらやまれたジンバブエも、ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領が白人から農場を接収し、農業技術をもたない黒人たちに分配して以来、経済状態は急速に悪化の一途をたどっている。(c)AFP/Godfrey Marawanyika and Fanuel Jongwe