老いとは何か? 肉体的・感情的に「リアルに」経験するセミナー
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【8月20日 AFP】コットンを耳に詰めたり指をバンドエイドで固定したりして、「老いるとどうなるか」を体験学習する人々。米国で行われるこうしたワークショップには、大勢の受講者が集まる。
米オハイオ(Ohio)州コロンバス(Columbus)のある老人ホームは、こうしたセミナーにスタッフを参加させるようにしている。「老いとはどういうものかを知り、入居者との良好な関係を自主的に築いてもらう」ためという。
Macklin Interregional Instituteが提供するワークショップ「Xtreme Aging(エクストリーム・エイジング)」は、「老い」の社会的、身体的、感情的、認知的、精神的な側面を理解してもらうことを目的としている。
ワークショップは3時間から8時間のセミナーで構成され、1クラスは20-25人。退職者だけではなく、その家族や研究者らも参加する。
授業は双方向で、過激でもある。「肉体的な衰え」を知るパートでは、参加者は、耳や鼻にコットンを詰める。白内障を体験するため、グリースを塗っためがねやゴーグルをかける。手の感覚をなくすために手袋をはめる。
■日常生活が格闘の連続に
ほかの団体が主催するセミナーでは、参加者の指の関節にポップコーンを貼って関節炎を経験してもらい、靴の中にポップコーンを入れて「足の裏に脂肪がない状態」を体感してもらう。
Macklin Interregional Instituteのペグ・ゴードン(Peg Gordon)氏は、「身体機能が衰えると、毎日の何気ない動作でも耐え難い大仕事になります」と語る。薬を数えて分類できるか、携帯電話で番号を打てるか、地図帳を本棚から出せるか等々、格闘の連続になるという。
参加者たちは、ランチタイムにもひと味違った経験をすることになる。クラッカーと3種類のジャムが配られ、それぞれにジャムを塗るよう指示される。食べた後で、何の味だったかを聞かれる。
「関節炎だったり、手の感覚がないと、クラッカーを割ってしまい、イライラします。においや味の感覚を失うと、味の違いもわからなくなります」とゴードン氏。
■独りで取り残された場面を想定する
だが、最も参加者の心に響くのは、感情的な部分だという。
参加者は、自分にとって最も大切な人を5人、最も大切な持ち物を3つ、最も得意にしていること(車を運転できる、投票には必ず行く、など)を3つ挙げるよう言われる。
次に、参加者は、配偶者や兄弟を亡くした事実を受け止めてください、大切な持ち物を2つだけ手元に残してください、と言われる。
ゴードン氏によると、この時、愛する人を失ったこと、いとしい人をそばに置いておくという自由を失ったことに、取り乱す人もいるという。米国の老人ホームでは、入居者はたいてい2つの所持品しか持ち込みが許されない。アルバムと小型テレビ、の場合が多いだろう。「そうした現実と向き合うのは、ショックです」
ゴードン氏は、セミナーには、若い人だけではなく「わしはまだまだ若い」が口癖のような老人にも参加してほしいと言っている。(c)AFP
米オハイオ(Ohio)州コロンバス(Columbus)のある老人ホームは、こうしたセミナーにスタッフを参加させるようにしている。「老いとはどういうものかを知り、入居者との良好な関係を自主的に築いてもらう」ためという。
Macklin Interregional Instituteが提供するワークショップ「Xtreme Aging(エクストリーム・エイジング)」は、「老い」の社会的、身体的、感情的、認知的、精神的な側面を理解してもらうことを目的としている。
ワークショップは3時間から8時間のセミナーで構成され、1クラスは20-25人。退職者だけではなく、その家族や研究者らも参加する。
授業は双方向で、過激でもある。「肉体的な衰え」を知るパートでは、参加者は、耳や鼻にコットンを詰める。白内障を体験するため、グリースを塗っためがねやゴーグルをかける。手の感覚をなくすために手袋をはめる。
■日常生活が格闘の連続に
ほかの団体が主催するセミナーでは、参加者の指の関節にポップコーンを貼って関節炎を経験してもらい、靴の中にポップコーンを入れて「足の裏に脂肪がない状態」を体感してもらう。
Macklin Interregional Instituteのペグ・ゴードン(Peg Gordon)氏は、「身体機能が衰えると、毎日の何気ない動作でも耐え難い大仕事になります」と語る。薬を数えて分類できるか、携帯電話で番号を打てるか、地図帳を本棚から出せるか等々、格闘の連続になるという。
参加者たちは、ランチタイムにもひと味違った経験をすることになる。クラッカーと3種類のジャムが配られ、それぞれにジャムを塗るよう指示される。食べた後で、何の味だったかを聞かれる。
「関節炎だったり、手の感覚がないと、クラッカーを割ってしまい、イライラします。においや味の感覚を失うと、味の違いもわからなくなります」とゴードン氏。
■独りで取り残された場面を想定する
だが、最も参加者の心に響くのは、感情的な部分だという。
参加者は、自分にとって最も大切な人を5人、最も大切な持ち物を3つ、最も得意にしていること(車を運転できる、投票には必ず行く、など)を3つ挙げるよう言われる。
次に、参加者は、配偶者や兄弟を亡くした事実を受け止めてください、大切な持ち物を2つだけ手元に残してください、と言われる。
ゴードン氏によると、この時、愛する人を失ったこと、いとしい人をそばに置いておくという自由を失ったことに、取り乱す人もいるという。米国の老人ホームでは、入居者はたいてい2つの所持品しか持ち込みが許されない。アルバムと小型テレビ、の場合が多いだろう。「そうした現実と向き合うのは、ショックです」
ゴードン氏は、セミナーには、若い人だけではなく「わしはまだまだ若い」が口癖のような老人にも参加してほしいと言っている。(c)AFP