【8月19日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)でイスラエルが築いた分離壁に抗議していたパレスチナ人らが遭遇したのは、予想していた催涙弾やゴム弾ではなく、猛烈な悪臭を放つ黄色いガスだった。

 イスラエル警察が「スカンク」と呼ぶ新型悪臭スプレーが初めて使用されたのは、8月始め、ビリン(Bilin)でのパレスチナ人抗議デモ隊に対してだった。

 この日もパレスチナ人たちは、毎週金曜日に行っている分離壁への抗議活動を行っていたところ、「スカンク」を積載したイスラエル警察のトラックからデモ隊に向けて悪臭スプレーが放出され、人々は散り散りになって逃げまどった。

 「スカンク」は霧状の黄色いガスで、糞尿のような悪臭を放つ。あまりにも強烈な臭さに、呼吸ができないほどだという。生まれて初めて「スカンク」に遭遇したパレスチナ人らは当初、トイレの汚水を噴霧されたと思ったようだ。
 
 これまで、パレスチナ人のデモ鎮圧策としてイスラエル警察が使用してきた催涙弾やゴム弾は、目や喉の粘膜や皮膚がただれたり、死亡する危険性がある。前月の抗議デモでも、16歳のパレスチナ人少年がイスラエル警察にゴム弾で撃たれて死亡している。

 それでも、パレスチナ人たちは「スカンク」よりも催涙弾やゴム弾の方がましだといい、イスラエル警察も「スカンク」効果は絶大だと自信を示す。

 「スカンク」が初めて使用されたビリンでは、農民や海外の活動家らも加わった抗議活動が活発化しており、イスラエルにとって新型悪臭スプレーの使用は必然だった。

 悪臭ガスの成分についてイスラエル警察は明らかにしていないが、人体には無害だと強調している。

 しかし、イスラエルがいかに不快な鎮圧手段を用いようと、パレスチナ人の抗議活動を止めさせることは不可能だろう。(c)AFP/Joseph Krauss