【8月18日 AFP】(写真追加)米国にテロ支援国家と名指しされて経済制裁を受けているスーダンにとって、主要産物であるアラビアガムは、神からの贈り物であると同時に、グローバル化を象徴するものでもある。

 アカシア属のアラビアゴムノキの分泌物を乾燥させたアラビアガムは、聖書やイスラム教の聖典コーランにも出てくる。イスラエルの民がエジプトを脱出してシナイ砂漠で飢えに苦しんでいた時、天から降ってきたとされる食べ物だ。地元では、「アラー(神)がアダムとイヴを楽園から(スーダン西部の)ダルフール(Darfur)に追放し、飢えないように天からの食べ物、マンナ(manna)を与えた」と言われている。 

 アラビアゴムノキは、西はセネガル、東はソマリアまでのサハラ地帯に生育する。中でもスーダンは、世界のアラビアガム消費量の半分以上を産出する。スーダン、チャド、ナイジェリアの3か国だけで世界のアラビアガム輸出高6万トンの95%を産出しており、これら3か国は石油輸出国機構(OPEC)のようなカルテルを形成したいと考えている。 

■古代から現代まで幅広い利用範囲

 古代エジプト人たちは、ミイラの包帯を留めるためののりにアラビアガムを使用していた。英仏は植民地時代、繊維、塗料、インク、菓子の原料として、あるいは切手ののりとして、アラビアガムの入手に躍起になっていた。

 アラビアガムは今日、ヘアジェル、チューインガム、そしてコカコーラ(Coca Cola)などのソフトドリンクに使用されている。

■アラビアガムをめぐる米国との駆け引き

 1993年にスーダンをテロ支援国家に指定し、1997年から経済制裁を続けている米国だが、米国企業は同国からのアラビアガムの輸入を継続している。マシュマロやM&Mなどアラビアガムを使用する菓子のメーカーは、安価な化学薬品などによる代替を試みているが成功していない。

 だが、コカコーラが2002年、ナイジェリアにアラビアガム加工工場を開設するなど、スーダン依存から脱却する動きが広がっている。

 前年5月、米政府は対スーダン制裁強化を発表。スーダン政府はこれに反発し、アラビアガムの輸出を停止すると脅した。

 スーダン森林委員会のAbdelazim Mirghani委員長は、「アラビアガムを禁輸すると、貧しい零細農家の生活を直撃する」と懸念している。(c)AFP