【8月17日 AFP】マイク・ジャクソン(Mike Jackson)元英陸軍参謀総長は、17日の英サンデー・ テレグラフ(Sunday Telegraph)紙に寄稿し、グルジアにおけるロシア軍の武力行使について、自国周辺の情勢に対するロシア政府の懸念を理解すべきだと主張した。

 ジャクソン元陸軍参謀総長は、ロシアを取り巻く旧ソ連諸国が相次いで北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganisationNATO)および欧州連合(EU)に加盟している状況を、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露首相は懸念しているとし、「ロシアと国境を接する『近い外国(Near Abroad)』である旧ソ連諸国は、ロシアの安全保障にとって戦略的に極めて重要だ」とロシア側への理解を示した。

「その正誤はともかく、ロシアはこの状況をゼロ・サム・ゲームとみなしている。プーチン氏は欧米の指導者たちがいまだ冷戦時代のメンタリティにはまっていると批判したが、少なくとも部分的には、同じことがロシアについてもいえるだろう」

 ジャクソン氏は2003-06年に英陸軍参謀総長を務め、コソボ(Kosovo)でNATO主導のコソボ自治州国際治安部隊(KFOR)、ボスニア・ヘルツェゴビナでは国連(UN)平和維持軍の司令官だった。寄稿の中で、コソボにおけるNATOの武力介入を正当化したのは「民族浄化のように、一国の政府が自国民に対して犯す人道的危機を抑止することは、その国家の主権を尊重するより優先すべき場合があるという、当時国際法の中で登場してきていたドクトリン」だと指摘している。「われわれが好むと好まざるとにかかわらず、グルジア侵攻でロシア政府が展開したのはまさしくこの論法だ」

 さらにジャクソン氏は次のように結論付けている。「欧米諸国が取るべき正しい道は、自らの立場や価値観について妥協するのではなく、ロシアが今回の行動に走った理由をより深く理解し、周辺の旧ソ連諸国に対するロシアの懸念をもっと理解することだろう。政治家や外交官らにとってこれは新たな課題だ。軍事戦略的な敵意や衝突は過去のものにしなければならない」(c)AFP