【8月15日 AFP】キューバのグアンタナモ(Guantanamo Bay)米軍基地に設置された特別軍事法廷で行われたテロ容疑者の正式事実審理前審問で13日、拘束者に「手当たり次第」の虐待を加えていたとして、米軍准将がグアンタナモの収容施設の副司令官を非難した。マイアミ・ヘラルド(Miami Herald)紙が報じた。

 証言を行ったのは、米軍のグレゴリー・ザネッティ(Gregory Zanetti)准将。アフガニスタンの首都カブール(Kabul)で手投げ弾を使って米兵2人を負傷させたとして起訴されたモハメド・ジャワド(Mohammed Jawad)被告の弁護側証人として審問に出席した。ジャワド被告は拘束時16-17歳だったとみられている。

 ザネッティ准将は、グアンタナモ収容施設の副司令官を務めるトーマス・ハートマン(Thomas Hartmann)准将の振る舞いは、「虐待や脅迫など、全てにおいて法律家のそれからはほど遠いものだ」と糾弾した。マイアミ・ヘラルド紙は米軍高官がハートマン准将の手法をこれほど厳しく非難するのは初めてのことだとしている。

 ハートマン准将は、グアンタナモの収容者らの公判に従事する米軍高官らに国防総省の法律顧問として助言を与える立場にあるが、ジャワド被告の弁護団は、ハートマン准将が審問に「不法な影響力」を行使したとして、起訴の取り下げを求めている。

 これに対し、主任検察官のローレンス・モリス(Lawrence Morris)大佐は「ハートマン准将は部屋に入るなり家具を蹴飛ばすなど、一部の部下が望むような温和な性格ではなかった」と述べ、ザネッティ准将の証言は「表面的な人間関係上の衝突」に起因するものでハートマン准将のリーダーシップのスタイルに対する非難は正当でないとした。

 しかし、ハートマン准将は、前週行われた国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の元運転手、サリム・アハメド・ハムダン(Salim Ahmed Hamdan)被告の裁判からは、担当をはずされている。

 ハートマン准将をめぐっては、テロ容疑者を裁く特別軍事法廷の主任検察官を前年に辞職したモリス・デービス(Morris Davis)大佐が4月、水責めによって得た証拠を容認しているとハートマン准将を非難している。(c)AFP