【8月14日 AFP】今年5月に王政が廃止されたネパールでは、ヒンズーの数々の重要な祭りを誰が執り行うべきか、議論になっている。

 ネパール人は、節目節目で祭りを行うが、同国が最も頭を悩ませているのが、国王が主催する祭りだ。こうした祭りでは、ヒンズーの神・ビシュヌ神の化身とされる国王が国民の祝福を受けることになっている。

 5月28日に王政が廃止されたことは、240年間続いたシャー王朝の終焉とともに、国王が一般人になったことを意味している。

 カトマンズ(Kathmandu)のトリブバン大学(Tribhuvan University)のChunda Bajracharya教授(カルチュラルスタディー)は、「共和制に移行して王がいなくなったからといって、何百年も続くこれらの伝統的な祭りをやめるわけにはいかない」と言う。

 前年のインドラジャトラ(Indra Jatra)の祭りでは、暫定政府のギリジャ・プラサド・コイララ(Girija Prasad Koirala)首相が国王の役割を引き受けた。1768年から続くこの祭りでは、生き神「クマリ(Kumari)」が国王を祝福することで、国王による統治が暗黙裏に承認されるという意味合いがあった。

 ネパール文化に関する著作があるSatya Mohan Joshi氏は、祭りにおける国王の役割を大統領や首相が引き継ぐのが自然だとしている。

 だが、4月の制憲議会選挙で第1党となり、次期政権に就くことが確実なネパール共産党毛沢東主義派(毛派)は、ヒンズーのカースト制を批判して王政の廃止に尽力してきただけに、そうした役割を引き受けるとは考えにくい。

 王政の廃止に伴い職を失ったある王宮の僧侶は、「祭りへの国王の参加は、民族、言語、宗教を超えて国を1つにまとめる方法だっただけに、残念だ」と話した。(c)AFP/Deepesh Shrestha