【8月13日 AFP】米国障害者協会(American Association of People with DisabilitiesAAPD)が12日、今週末に北米公開を迎えるベン・スティラー(Ben Stiller)監督・主演のコメディ『トロピック・サンダー/史上最低の作戦(Tropic Thunder)』について、「作品中の表現が知的障害者を侮辱している」と非難。全米の知的障害者支援団体に映画のボイコットを訴えている。

 ジャック・ブラック(Jack Black)やロバート・ダウニー・Jr(Robert Downey Jr.)も出演するこの作品は、戦争映画を撮ろうとした俳優たちが本物の戦闘に巻き込まれるというストーリー。スティラーは知的障害者のシンプル・ジャック(Simple Jack)を演じている。

 AAPDは、この映画本編や予告編の中で知的障害者を意味する「retard」という言葉が繰り返されていると指摘。「不快でゾッとする。エンターテインメントにおいて、障害者がひどい描き方をされることが続いている」と述べている。

 AAPDのアンドリュー・イムパラト(Andrew Imparato)会長は前週、配給元のドリームワークス(Dreamworks)と話し合いを持ったが、11日にこの作品を見て激しく非難した。「この言葉(retard)の使用も、映画に登場する知的障害者のゾッとするような描き方も、知的障害者をひどく傷つけるものだ。風刺とみなされているが、知的障害者の描き方は愉快さからかけ離れている」

 一方、スティラーは、ハリウッド(Hollywood)の風刺がこの作品のサブプロットだと語っている。ドリームワークスも次のような声明を出し、この作品を擁護している。「『トロピック・サンダー』はR指定のコメディで、ハリウッドとその過剰な行動を風刺している。ばかげた状況で、度を過ぎた不適切なキャラクターを描くことで成り立っている。この映画は知的障害者のイメージを傷つけようとしたものではない」 (c)AFP