【8月6日 AFP】3日に89歳で死去したロシアのノーベル文学賞作家、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexander Solzhenitsyn)氏の葬儀が5日、モスクワ(Moscow)のロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)で行われ、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相や市民数百人が参列した。

 旧ソ連時代の強制収容所をテーマとした作品などで知られる反体制作家の棺が科学アカデミーに安置されると、最後の別れに訪れた参列者らは、妻のナタリアさんや遺族らの前を通り献花し、祈りを捧げた。

 プーチン首相は式典後に放映された談話で「その人生と仕事を通じて、アレクサンドル・ソルジェニーツィン氏は、あらゆる形態の圧政に対する社会の抵抗力を大幅に高めた」と弔辞を述べ、氏の作品は学校教育のカリキュラムの中で「それに値する位置」を与えられるべきだとも語った。ソルジェニーツィン氏はヨシフ・スターリン(Josef Stalin)政権下の強制収容所「グラーグ(Gulag)」に8年間収容されていた。

 ひつぎは6日現地時間午前9時(日本時間午後2時)から、16世紀に建てられたモスクワのドンスコイ修道院(Donskoy Monastery)のロシア正教墓地に埋葬される。

 一方、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は4日、遺族へ当てた弔電の中で「20世紀の最も偉大な思想家であり、作家であり、人道主義者だった」とソルジェニーツィン氏を惜しんだ。旧ソ連最後の指導者ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)元大統領や、フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相、米国のコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官といった政治家たちからも弔辞が寄せられた。

 ロシア各紙も5日、ソルジェニーツィン氏をしのぶ特集を組んだ。日刊紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)は「預言者、故郷に死す」と見出しを掲げ、政府系のロシア新聞(Rossiiskaya Gazeta)は、ソルジェニーツィン氏をもう一人のロシア文学の巨匠レフ・トルストイ(Lev Tolstoy)と並べたたえた。(c)AFP/Alexander Osipovich