【8月4日 AFP】エベレスト(Mount Everest)に次ぐ世界第2の高峰K2(8611メートル)の山頂付近で1日、巨大な氷の塊が崩壊し11人が死亡した事故で、パキスタン軍は4日、生存していたオランダ人登山家2人を救出した。現在、もう1人の救出を目指している。

 死亡が確認された登山家らは、韓国人3人、ネパール人2人、パキスタン人2人、セルビア人、アイルランド人、ノルウェー人、フランス人が各1人。また、フランス、パキスタン、オーストリアの登山家が行方不明になっているという。

 K2登山中の死亡率は、エベレスト登山の約5倍にも達し、登頂が非常に困難なことで知られるが、過去20年間にK2で発生した事故の中でも、今回の被害は最悪となった。
 
 パキスタン軍の救助隊を率いるAzimullah Beg大尉は、K2のベースキャンプ(5200メートル)からAFPの取材に衛星電話で答え、標高7300メートルの地点から前夜、オランダ人登山家2人をベースキャンプまで連れ戻した後、4日朝に軍のへリコプターで病院へ移送したと述べた。2人は重い凍傷にかかっており、治療を受けているという。

 別のヘリコプターがもう1人のイタリア人登山家の生存も確認したが、着陸できず、短時間の交信のみ行ってベースキャンプに引き返した。この登山家も足に凍傷を負い歩けないという。ベースキャンプに詰めているパキスタン人の登山ガイドSultan Alam氏は、高所ポーター4人が遭難地点に向かっており、4日夜にはイタリア人登山家も救出されるだろうと述べた。

 3人とも凍傷の度合いはひどく、少なくとも1人は手足を片方ずつ切断しなければならないだろうと医師は診断しているという。

 Alam氏によると、少なくとも17人が事故に巻き込まれたとみられるが、登山隊の正確な人数は確認できていないという。死亡が確認された人数は、前日の9人から2人増えた。

 韓国の首都ソウル(Seoul)にある登山家クラブでは同日、韓国人登山家3人と、同行していたシェルパ2人の計5人の死亡を確認した。同クラブによると、さらに2人の韓国人登山家もいたが、事故前にベースキャンプへ帰還していた。天候状況が「絶望的」なため、生存者らは仲間の遺体回収をできずにいるという。

 1954年7月31日の2人のイタリア登山家によるK2初登頂以来、2007年までに284人がK2登頂を成功。一方で、66人が命を落としている。同じ期間、エベレスト登頂は延べ3681人が成功、死者は210人となっている。(c)AFP