【8月4日 AFP】(一部更新)ロシアのノーベル文学賞作家、アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexander Solzhenitsyn)氏が3日、モスクワ(Moscow)の自宅で、急性心不全のため死去した。89歳。タス通信(ITAR-TASS)が子息のステパンさんの話として報じた。

 ソルジェニーツィン氏は、1945年から8年間過ごした旧ソ連の収容所をテーマにした作品『イワン・デニーソヴィチの一日(One Day In The Life of Ivan Denisovich)』、『煉獄の中で(The First Circle)』、『収容所群島(The Gulag Archipelago)』などで知られる。

 1970年にノーベル文学賞を受賞。その結果、1974年に市民権を剥奪され、国外追放処分となる。ドイツ、スイス、米国での亡命生活を経て、旧ソ連崩壊後の1994年にロシアに帰国した。

 以降、ソルジェニーツィン氏は欧米及びロシア両者を批判し続け、伝統的な価値観への回帰を訴えた。

 2007年6月にはその業績をたたえられ、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領(当時)からロシアの国家賞を授与された。このとき授与式には夫人が代理で出席、ソルジェニーツィン氏はビデオメッセージで次のように語っていた。

「私が集め読者に提示した歴史的資料が、わが祖国の国民の意識と記憶の中に刻み込まれることを、人生の最期まで期待することができる。わが国の辛い経験は、社会情勢が再び不安定になったとき、われわれに警告をあたえ、崩壊を回避する助けとなるだろう」

 06年には、これまでに発表されなかった作品も含めた、ソルジェニーツィン氏の全集編さんが開始された。全集の最終巻は2010年に発売される予定。ソルジェニーツィン氏は最終巻を見るまでは生きていられないだろうと、夫人は語っていた。

 ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)ロシア大統領は、遺族にお悔やみを述べたという。(c)AFP