【8月3日 AFP】7歳になる実の娘を誘拐したクラーク・ロックフェラー(Clark Rockefeller)を名乗る男が2日、米メリーランド(Maryland)州ボルティモア(Baltimore)で逮捕された。娘は無事に解放された。2日、米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)が発表した。

 容疑者の男は前月27日に、母親とともに米マサチューセッツ(Massachusetts)州ボストン(Boston)を訪れていた娘のリー・ストロー・ボス(Reigh Storrow Boss)ちゃんを誘拐し、行方をくらませていた。

 石油掘削事業で富を築いた名家として著名なロックフェラー家の血筋を語る男による事件は、メディアで母親が娘の解放を訴えるなどしたこともあり、米国で大きな注目を集めてきた。

 ロックフェラー家は容疑者との血縁を完全否定している。一方容疑者はロックフェラー家の一員と偽り社交界に出入りもしていたという。

 捜査当局は、容疑者の本名はおろか、社会保障番号や納税記録もつかめておらず、容疑者を「幽霊」と呼んでいる。

 FBIによると、ボルティモアでの逮捕劇で追い詰められた容疑者は「協力的」な態度を示したという。逮捕時、容疑者はボルティモアのヨットハーバー近くの集合住宅に潜伏していた。

 容疑者はこれまで、ジェー・ピー・クラーク・ロックフェラー(J.P. Clark Rockefeller)、クラーク・ミル・ロックフェラー(Clark Mill Rockefeller)、マイケル・ブラウン(Michael Brown)などの偽名を使ってきたことが分かっている。

 米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)がロックフェラー家に詳しい歴史家の話として伝えたところでは、米国で「ロックフェラー」姓を名乗っている約1万人のうち本物はおよそ半数に過ぎず、さらにジョン・ロックフェラー(John D. Rockefeller)の直系の子孫は約100人に過ぎないという。(c)AFP/Sebastian Smith