【8月12日 AFP】セネガルの首都ダカール(Dakar)の海岸には、砂を「盗む」輩が今日も群をなす。同国の建築ラッシュに伴い、建築材料の砂は売れるのだ。

 盗人たちは建設会社に砂を売り、建設会社はダカールの海岸線に次々とビルを建てる。その一方で、総延長700キロの砂浜は浸食されていく。地元の環境保護団体は「ダカールの砂浜はほとんど消滅してしまった」と嘆く。

 海岸の砂を持ち去ることは法律では禁止されているが、建設業界の空前の好景気に合わせて砂の闇市場が繁盛しているというのが現実だ。

 同国の建設業界の2004-07年の年平均成長率は12.45%で、これは同国のGDPの4.6%にあたる。失業率が高く、国民の約半数が貧困ライン以下で生活している同国の経済を、建設業界が支えているといっても過言ではない。

  建設ブームの背景には、ダカールの都市部の拡大がある。建設業界のある男性は、「新築される建物の100%が(盗まれた)海岸の砂を使っている。それしか方法がないんだ」と打ち明けてくれた。

■敵もさる者

 警察も手をこまねいているわけではない。警察は2006年5月に海岸パトロール隊を組織。ダカールの海岸を週に数回巡回しているが、犯人をつかまえるのは容易ではない。パトロールの情報はまたたくまにくまなく伝わり、現地に到着する頃には海岸はもぬけの殻。警察が去ると盗人たちは再び現れるという。

 この2年間で検挙できたのは84人。たいていは1-2か月の短い禁固刑と10万CFA(約2万5000円)から100万CFA(約25万円)の罰金が課されるというが、再犯率は高いという。砂を建設業者に売ると最大8万CFA(約2万円)という破格の月収が得られる。それだけ砂のニーズは高いのだ。(c)AFP/Julie Vandal