【7月31日 AFP】地中海諸国の人々は、ヘルシーな食事として世界中で評判の高い地中海料理を捨て、脂肪、塩分、糖分を過剰に含んだ食品を摂取するようになっている。食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)が29日、このような報告書を発表した。

 報告書は、新鮮な果物と野菜をふんだんに使った地中海料理が、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインなどですたれつつあると指摘。所得の増大が、南欧、北アフリカ、地中海沿岸のアラブ諸国の食習慣を肉製品や高脂肪食品指向に変え、かつては「食生活のモデル」とされていたこれらの地域が、今や健康不安を呈するようになっているとしている。
 
 例えば、高カロリーの食品を多く摂取するようになったギリシャでは、全人口に占める肥満の割合が4人中3人。肥満率は平均肥満度指数とともに、EU加盟国中もっとも高い。また、イタリア、スペイン、ポルトガルでは、人口の半分以上が肥満だ。

 調査の結果、EU加盟国全体がFAOおよび世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の食生活勧告に従わない傾向にあることが分かっているが、その中でもギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、キプロス、マルタでは、カロリー摂取量が増大しているという。

 FAOは、地中海諸国で高カロリー食が増えた原因として、所得の増大以外にも、スーパーの店舗数が増えたこと、仕事を持つ女性が料理に手をかけなくなったこと、外食が増えたこと、ファストフードレストランに行く機会が増えたこと、デスクワークが増えた上に運動をしなくなったことなどを挙げている。(c)AFP