【7月28日 AFP】(一部更新、写真追加)トルコ・イスタンブール(Istanbul)市内で27日夜、2発の爆弾が相次いで爆発し、少なくとも17人が死亡、150人以上が負傷した。

 レジェプ・アクダー(Recep Akdag)保健相によると、依然7人が重体で、死者数は増える可能性がある。

 最初の爆発はイスタンブール西部のギュンギョレン(Gungoren)地区で、ゴミ箱が爆発する小規模なもので、人が集まり始めた数分後、少し離れた場所で2度目の大規模な爆発が起こったという。

 NTVテレビは、血まみれになった人々が逃げまどう様子や、がれきや砕けたガラスが散乱する現場の映像を報じた。現場には消防隊や救急隊員らが急行し、非常線が張られた。


■「テロに間違いない」と地元知事

 アナトリア(Anatolia)通信によると、現場を訪れたイスタンブール県のムアメル・ギュレル(Muammer Guler)知事は「テロ攻撃であることに疑いはない」と述べ、10-12分の間隔で連続爆発するよう設定された2つの爆発物が、それぞれゴミ箱に仕掛けられていたと明かした。

 一方でギュレル知事は、事件がクルド人独立国家の樹立を目指す非合法武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)」によるものではないかとの見方については、現在はまだ犯人特定には時期尚早だとの考えを示すとともに、現場近くに設置された防犯カメラの映像分析を進める方針を明らかにした。

 爆発の原因について、地元メディアは当初、ガス漏れによるものと報道していた。

 イスタンブールではPKKによるテロ攻撃が多発しており、1984年の武装闘争開始以来、これまでに3万7000人以上が犠牲となっている。米国および欧州連合(EU)は、PKKをテロ組織に指定している。ほかにイスラム過激派や左派グループのテロも起きている。

■与党めぐり高まっていた緊張

 トルコでは最近、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan) 首相率いるイスラム系与党・公正発展党(Justice and Development PartyAKP)と、国是の世俗主義を強く支持する勢力との間で、対立が深まっている。

 当局は25日、AKP内閣の転覆を企てたとして、反イスラム秘密組織「エルゲネコン(Ergenekon)」メンバーとみられる86人を起訴した。公判は10月20日に開廷する予定だ。イスタンブール市内の家屋から手りゅう弾が発見された事件をきっかけに始まった「エルゲネコン」に対する捜査について、世俗主義派は、反対勢力を封じ込めようとする政府の陰謀だとして反発している。

 一方、憲法裁判所では28日から、検察当局がAKP解党とエルドアン首相、アブドラ・ギュル(Abdullah Gul)大統領などAKP党員69人に対する5年間の政治活動停止を求めた訴訟の審理が始まる。AKPの基盤は以前に解党命令を受けたイスラム主義政党で、検察当局は同党の政策が世俗主義を定めたトルコ憲法に反していると主張している。(c)AFP