【7月18日 AFP】気候変動対策が不十分との批判を浴びている商業航空業界は今週、ロンドン(London)南西部ファンボロー(Farnborough)で開催中のファンボロー国際航空ショー(Farnborough International Airshow)で、「より環境に優しい将来像」のアピールに努めている。

■EUの排出枠割当に抗議

 原油高騰で航空機の燃費向上の必要に迫られている航空業界だが、一方で欧州議会は今月8日、欧州連合(EU)の温室効果ガスの排出量取引制度の対象に航空産業を加える政策案を賛成多数で可決。域内を発着する航空各社には2012年から、排出枠が割り当てられることになった。

 この決定に、ファンボローに集まった航空関連各社の代表は強い反発を示している。

 香港(Hong Kong)・キャセイ航空(Cathay Pacific)のトニー・タイラー(Tony Tyler)最高経営責任者は、「持続可能な航空」に関する記者発表で、航空業界が二酸化炭素(CO2)排出問題の原因の1つだと認めつつも、「気候問題における最下層民のように扱われるべきではない」と述べた。

 欧州航空機大手エアバス(Airbus)のトム・エンダース(Tom Enders)最高経営責任者も、気候変動対策の必要性を認める一方、EUの決定は原油高に苦しむ航空各社に新たな「税金」を課す「スキャンダル」だと評し、規制案の見直しを求めた。

 航空業界は、現在の業界のCO2排出量は人類全体のわずか2%に過ぎないと主張している。

■「環境に優しい航空業界」をアピール

 一方で、航空各社と製造大手のエアバスや米ボーイング(Boeing)、カナダ・ボンバルディア(Bombardier)は、燃費効率のいい新型旅客機の購入契約を次々と結んでいる。

 発表された大型契約の1つには、原油高騰の恩恵を受けるアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空(Etihad Airways)が、エアバスとボーイングからジェット機100機を購入する総額204億ドル(約2兆1000億円)の契約もある。

 また、エアバスは今回ファンボローで、国際的な若者教育プログラム「グリーンウエーブ(Green Wave)」への支援を表明し、国連(UN)の生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)の覚書に署名した。(c)AFP/Ben Perry