【7月15日 AFP】ドイツの遺伝学協会は14日、ナチス・ドイツ政権の「遺伝性疾患子孫防止法(Prevention of Progeny with Hereditary Diseases Act)」のもとで行われていた数千人の身体・精神障害者の虐殺を非難した。

 同法の施行から75周年を迎えた同日、ドイツ人類遺伝学協会(German Society of Human Genetics)は「科学者らは、残忍な法律の施行と実施においてナチスと共謀した。優生学は道徳的に間違っているのみならず、生物学的にもナンセンスだった」との声明を発表した。

 優生学は、選択的な淘汰(とうた)により人種を改善できるとする考え方で、20世紀前半には広く受け入れられていた。

 協会は、同法に基づいた障害者安楽死計画のもとで40万人が本人の同意なく不妊手術(断種)を受け、その過程で数千人が死亡したと推定。声明の中で「同法は、『価値がない』と見なされた人々の命を奪い、基本的人権を踏みにじった。優生学の名のもとで大量殺りくが行われた」と強く非難した。

 歴史家らは、1933年以降のナチス政権下で、障害者安楽死計画のもとで殺害された身体・精神障害者の総数を20万人以上と見積もっている。近年では、同計画の下で虚弱体質の子ども数千人が殺害されたことも明らかになっている。(c)AFP