【7月11日 AFP】英国文学界最高賞とされるブッカー賞(Booker Prize)の創設40周年を記念する「ベスト・オブ・ブッカー(Best of Booker)賞」に10日、サルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏(61)の『真夜中の子供たち(Midnight's Children)』が選出された。

 ブッカー賞は毎年、英国及びアイルランド国籍の作家によって書かれた最も優れた小説に贈られる。審査が実施される前年に出版され英語で書かれたものが対象となる。世界で最も権威ある文学賞のひとつとされており、1969年に創設されたが1974年と1992年は各2冊が受賞したため、これまでの受賞作は41冊。「ベスト・オブ・ブッカー賞」にはこの41冊の中から選考委員により6冊の候補に絞られ、一般読者の投票により『真夜中の子供たち』が選ばれた。

 オンライン投票には世界中から7801人が参加し、その中の36%が『真夜中の子供たち』に投票した。参加者の割合は英国からの投票が37%、北米からが27%だった。さらに参加者の半数以上が35歳以下だったという。

 ラシュディ氏はインド生まれの英作家。1988年の著書『悪魔の詩(The Satanic Verses)』は、イランの故ルホラ・ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師が「イスラム教を冒とくした」としてラシュディ氏に死刑を宣告を出し、世界のイスラム教徒から激しい非難を浴びた。前年、ラシュディ氏に対し英国のナイトの爵位の授与が発表されたときには、パキスタンでは同氏の肖像が燃やされるなどの抗議活動が起きた。

『真夜中の子供たち』はラシュディ氏の2冊目の小説。1981年にブッカー賞を獲得し、1993年の同賞25周年記念「ブッカー・オブ・ブッカーズ(Booker of Bookers)」も受賞した。

 今回の受賞を受けて「非常に素晴らしいニュースだ。選んでくれた世界中の読者に感謝したい」と語っている。

 そのほか今回の候補となったのは、1999年受賞のJ.M. クッツェー(J.M Coetzee)氏による『恥辱(Disgrace)』、1973年受賞の故ジェイムズ・G・ファレル(J.G. Farrell)氏による『セポイの反乱(The Siege of Krishnapur)』、1974年受賞のナディン・ゴーディマ(Nadine Gordimer)氏による『The Conservationist』、1988年受賞のピーター・ケアリー(Peter Carey)氏による『オスカーとルシンダ(Oscar and Lucinda)』、1995年受賞のパット・バーカー(Pat Barker)氏による『The Ghost Road』の5冊。(c)AFP