【7月9日 AFP】英ロンドン(London)の高等法院(High Court of Justice)で8日、国際自動車連盟(International Automobile FederationFIA)のマックス・モズレー(Max Mosley)会長(68)の性的スキャンダル報道をめぐるプライバシー侵害訴訟の裁判が行われ、モズレー会長は売春婦5人との「乱交パーティー」の様子を赤裸々に語った。

 モズレー会長は、暴露記事を掲載した英大衆日曜紙ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)をプライバシー侵害で告訴しており、裁判は7日から始まった。

 同会長によると、「乱交パーティー」は3月28日に行われた。その際に行った「監獄ごっこ」では、「耳障りな音」が支配者の役に合うとしてドイツ語を話し、会長とドイツ語を話す女性1人が支配者を、ドイツ語を理解しない残りの女性が服従者を演じていたと明らかにした。

 会長は、ドイツ語を使用することで興奮度が増したと語った。「ドイツ語は高圧的な支配者役にぴったりだ。ロマンチックというよりは耳障りな発音の言語だ」とし、またパーティーのために売春婦にそれぞれ500ポンド(約10万円)を支払い、ロンドン市内の高級街チェルシー(Chelsea)のアパートを1部屋借りたことを認めた。

 一方、同会長と、パーティーを企画した女性「A」は、会話中に「ナチス(Nazi)」という言葉を発したことは1度もないと主張。会長は「狂ったナチスの暴君と5人の売春婦」を演じていたとする同紙の主張を否定しており、巨額の懲罰的損害賠償を求めている。同会長の父親は、1930年代に英国ファシスト連合を創設した故オズワルド・モズレー(Oswald Mosley)氏。また、Jean夫人(48)はモズレー会長の性癖について知らなかったことから、同紙の記事は会長の生活を崩壊させたと訴えた。

 弁護人ジェームス・プライス(James Price)氏は、モズレー会長が強制収容所の指揮官と死の収容所の収監者を演じたとの報道で、「言語道断の弁解の余地のない侵害」が一層助長されたと主張した。
 
 モズレー会長は、女性が黒いジャケットに黒いブーツを履き、黒い帽子をかぶっていたことは認めたが、ナチスを連想させる行為を行っていたとする報道は否定し、「ナチスのまね事をしたかったのなら、『A』にそう言って安い雑貨屋でナチスグッズを買ってきてもらっていた。マークス・アンド・スペンサー(Marks and Spencer)で高級なジャケットを買ってきてもらうようなことはしなかった」と述べ、さらに女性がモズレー会長のシラミ取りやひげそりを行っていたことについては、「こういった人々が普通にやることだ」と強調した。

 乱交パーティーに参加した別の女性「D」は、同紙が参加した女性を「売春婦」と表現したことは「侮辱にあたる」と主張。参加中、この女性は「友人と一緒に、楽しいことをしている」と感じていたという。モズレー会長とは約1年半前から知り合いで、「A」が企画したパーティーで知り合ったという。

 これに対し、ニューズ・オブ・ザ・ワールドの発行元ニュース・グループ・ニュースペーパーズ(News Group Newspapers)は裁判で争う姿勢を示し、記事の掲載は公益上、正当化されるとしている。(c)AFP