【7月8日 AFP】英国放送協会(BBC)は7日、ロシア連邦保安局(FSB)の元職員、アレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏がロンドン(London)で殺害された事件にロシア政府が関与していたことを示す強い証拠があると、英国の治安当局高官が語ったと伝えた。

 BBCによれば、匿名のこの高官は「何らかの形でロシア政府が関与していたとの強い確信を持っている」と語ったという。

 また、亡命中のロシアの富豪ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)氏の暗殺未遂事件についても、「西側にいる人物に(ロシア政府が)オペレーションを行う意思を示している」と述べ、「英露関係は、今後、非常に難しい局面を迎えるだろう」との見方を示した。BBCは、英政府高官がこの事件についてロシア政府の関与を公に言及したのは初めてだとしている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)前大統領の政権を批判していたリトビネンコ氏は2006年、紅茶に含まれていたとみられる放射性物質により毒殺された。

 英捜査当局は前年、事件の容疑者として旧ソ連国家保安委員会(KGB)元将校でロシア人実業家のアンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)氏の身柄引き渡しをロシア政府に求めたが、ロシア側はこれに応じず、両国の関係悪化の大きな原因の1つとなった。

 また、英情報局保安部(MI5)も、ロンドンでは現在もソビエト時代とほぼ同数のロシアの工作員が活動しており、中国の工作員とならんで最大の懸念材料になっていると報告している。

 一方、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は7日、北海道洞爺湖サミット(G8 Hokkaido Toyako Summit)でロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領と初めて会談し、両国間の懸案事項を全て解決する努力をしていくことで合意した。英露首脳会談後にリトビネンコ氏の未亡人、マリナ・リトビネンコ(Marina Litvinenko)さんは、英政府の姿勢を支持する声明を発表した。(c)AFP