【6月21日 AFP】サッカー欧州選手権2008(Euro 2008)に出場しているオランダ代表では、攻撃的なプレーでウェズレイ・スナイデル(Wesley Sneijder)が評価を得ている選手の1人だが、多くの熱狂的なファンは、ラファエル・ファン・デル・ファールト(Rafael Van Der Vaart)こそが今大会のオランダの成功の要になっていると見ている。

 現在はドイツ・ブンデスリーガ1部のハンブルガーSV(Hamburger SV)に所属し、オランダ・エールディビジのアヤックス(Ajax)時代は「小さな王子」として呼ばれた25歳の司令塔は、これまで好調を維持しディルク・カイト(Dirk Kuyt)と並んでどのチームメイトよりもピッチを動き回り、21日に控えるロシアとの準々決勝でも同様の役割が期待されている。

 献身的なランニングと無尽蔵のスタミナでも知られるラフィー(ファン・デル・ファールトの愛称)は、グループリーグ初戦で世界王者イタリアに3-0で勝利した後、これまでに「消耗しきった」と感じたことはないと語っている。

 ファン・デル・ファールトは「チームのために全てを捧げるのは僕の喜び。僕たちの今の成功を見れば、少しくらい苦しむ価値は十分あるね」と語っている。

 また、選手として1998年の旧西ドイツ大会で優勝を経験し、今大会では監督としての優勝を目指すマルコ・ファン・バステン(Marco van Basten)監督は「ラファエルが我々のスタイルにもたらすのは不可欠なものだ」と語り、ファン・デル・ファールトの重要性を総括している。

 だが、ファン・バステン監督はロシア戦でアリエン・ロッベン(Arjen Robben)を得意の左サイドで起用するために、ファン・デル・ファールトはポジションを変更しなければならないかもしれない。

 これによりファン・デル・ファールトは、ワントップのルート・ファン・ニステルローイ(Ruud Van Nistelrooy)の背後からスナイデルと共により中央にポジションを移すことになるが、この点については「ポジション変更は問題ではない。スナイデルとの共存は可能で、2人に補完性があることを懐疑論者に示したいね」と語り、そのための準備は十分にできていると自信を覗かせている。

 ハンブルガーを尊重しているとは言え、持っている能力を考えればファン・デル・ファールトが欧州の主要クラブでプレーしていないのは驚きだが、自身はかねてから噂されているスペイン・リーガエスパニョーラ1部のバレンシア(Valencia CF)への移籍願望を隠していない。

 2007-08シーズンは絶望的なシーズンを送り、ファン・デル・ファールトに2008-09シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)出場を用意できなかったバレンシアは、獲得に名乗りを上げているイタリア・セリエAのユベントス(Juventus)、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)とマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)らとの熾烈な獲得争いを演じており、またアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)監督の評価から判断すれば、アーセナル(Arsenal)がファン・デル・ファールトの獲得に乗り出しても驚きはない。

 ファン・デル・ファールトについてベンゲル監督は「稀有(けう)な知性を備えている。彼は戦術の天才だ。ボールを失うのは稀で、素晴らしいテクニックに頼るのではなくボールタッチも多い」と語り、称賛を送っている。

 かつての「小さな王子」ファン・デル・ファールトは、決勝が行われる29日に欧州王者になることを望んでいるのかもしれない。(c)AFP/Benoit Noel