【6月11日 AFP】燃料価格の高騰がとどまるところを知らない昨今、米国では「週4日勤務」への関心が高まっている。

 人口24万2000人のアラバマ(Alabama)州バーミンガム(Birmingham)市は、7月1日から市の職員2400人を対象に「1日10時間、週4日勤務」を導入する。今年中には警官と消防士あわせて1000人に対象を拡大する予定だ。

 市の広報担当者によると、これにより燃料費が職員分だけで年間50万から100万ドル(約5300万から1億600万円)節約できるという。

 「週4日勤務」の最大の目的は燃料費の節約だが、子持ちの職員にとっては子どもと一緒にいられる時間が増え、ひいては託児所費用も減らせるという。「職員たちは大喜びで、待ち望んでいます」と担当者は語った。

■学校は交通費600万円を節約可能

 ミネソタ(Minnesota)州メイナード(Maynard)から北に1600キロのMACCRAY校区では、新学期から週4日制を導入する。これにより教育予算の約1%、主に交通費が5万5000ドル(約590万円)節約できるという。

 これにより授業日数は現行の172日から149日に減るため、授業時間を1日あたり65分増やす。これについては一部の小学校教師から「(幼い)児童は長時間の授業に耐えられるか」といった不安が寄せられているが、高校生の大半は好意的に受け止めている。高校生の多くはアルバイトをしており、休みが1日増えたら余計に働けるからだという。

■全米38%の企業がすでに導入

 全米各地では、ガソリン価格が1ガロンあたり4ドル(430円)と、前年同期から30%も跳ね上がっている。交通費を節約する方法としては在宅勤務や車の相乗りがあるが、週4日勤務もそうした選択肢の1つだ。

 米人材マネジメント協会(Society for Human Resource Management)が2007年に実施した調査では、フレックスタイム制の一環として週4日制を導入している企業は全米で38%にのぼっている。

 コンサルタント会社Challenger Gray & Christmas によると、企業における最も人気のあるガソリン価格高騰対策が「勤務日数の短縮」で、全米の企業の23%が実施。「1日10時間、週4日」が最も一般的という。

■燃料費高騰で企業・従業員の意識が柔軟に

 同社のジョン・チャレンジャー(John Challenger)CEOは、高いエネルギー費用という問題が、企業や従業員の意識を柔軟にしたと語る。たとえば会社側は従業員の勤務時間よりは実績に注目するようになり、従業員はコストを削減し作業効率を上げるために工夫するようになっているという。

 チャレンジャー氏は「4日勤務により、通勤ラッシュを避けられるだけでなく、長い週末が好まれる職場文化に移行している。われわれは伝統的な勤務体系から離れつつある瞬間を目撃している」と語った。(c)AFP