【6月10日 AFP】(一部更新)米アップル(Apple)は9日、携帯電話端末「iPhone」の新モデル「iPhone 3G」を発表した。

 ビジネスユーザーをターゲットとしたiPhoneの第2世代モデルは、高速データ通信対応で従来品よりもインターネットアクセスやダウンロードのスピードがアップ。さらに、GPS機能も搭載されている。サンフランシスコ(San Francisco)で開催中の「アップル世界開発者会議(Apple Worldwide Developers Conference 2008WWDC)」でスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)最高経営責任者(CEO)が披露した。

 ソフトウエア面のアップデートで特徴的なのは、対応可能な文字言語が多様化した点だ。言語の選択も容易で、日本語と中国語ではタッチスクリーンからの入力もできる。

「iPhone 3G」8GBモデルの価格は199ドル(約2万1000円)とジョブズCEOが発表すると、会場からは歓声があがった。処理速度は先行モデルの倍ながら、価格はほぼ半額。16GBモデルの価格は299ドル(約3万2000円)だという。

  ITリサーチ企業ガートナー(Gartner)のアナリスト、ヴァン・ベイカー(Van Baker)氏は、ブラックベリー(BlackBerry)やノキア(Nokia)といった他社のライバル携帯情報端末にとって極めて攻撃的な価格設定だと驚く。「この値段によってiPhoneの位置づけは、注目を引く存在から一気に市場リーダーへと飛躍する可能性さえある」と言う。

 新モデルは、7月11日より世界70か国で販売する予定。第1世代iPhoneが販売されている6か国から大胆に市場を拡大する。

■MS Exchangeとの交信も改善、法人メール市場切り込み狙う

 またジョブスCEOは、Microsoft Exchangeサーバを通じたメール送受信やその他のツール利用を可能にする「iPhone 2.0ソフトウェア」についても発表した。

 今回のソフトウエア更新は、北米の法人向け市場で勢いを伸ばしているカナダの携帯情報端末大手リサーチ・イン・モーション(Research In MotionRIM)の法人メール端末「ブラックベリー」に正面から挑戦していく姿勢の現れだ。

 iPhoneとExchangeサーバ間の送受信ではこれまで問題が生じることがあったが、ブラックベリーではExchangeサーバとのやりとりに問題はなかった。

 しかし今回の更新によりiPhone-Exchange間の問題が解決されるという。アップルはシスコシステムズ(Cisco Systems)とともに、機密度の高い企業データのやりとりを可能にするVPN(バーチャルプライベートネットワーク)サービスを構築した。

 すでに米フォーチュン500企業(Fortune 500)の35%と米軍がベータ版の試験使用を終えたという。「iPhone 2.0ソフトウェア」へのアップデートは、iPhoneユーザは無料で行える予定で、iPod touch向けには9.99(約1060円)ドルで販売される。

■新オンラインサービス「MobileMe」、開発ソフト提供サイト「App Store

 アップルはまたPCのほかiPhoneやiPod touchから個人アカウントにアクセスできる新オンラインサービス「MobileMe」の開始も発表した。

 さらに7月11日に「開店」予定の「App Store」についても紹介した。App Storeはサードパーティの開発者が自分の開発したiPhone用アプリケーションをオンライン上で提供できる仕組みで、ゲームやソーシャルネットワーキング、医療向けアプリケーションなど多用なラインナップの一部が会場で披露された。

 iPhoneが販売開始されたのは前年6月29日。これまでに世界で600万台を売り上げている。ジョブスCEOは年末までに売上台数1000万台に達するだろうと自信をあらわにした。 (c)AFP/Glenn Chapman

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