【6月7日 AFP】エジプト・カイロ(Cairo)近郊のサッカラ(Saqqara)の、数千年にわたり砂漠の砂に埋もれていた有名な「主人なき」ピラミッドは、約4400年前の古代エジプト第5王朝メンカウホル(Menkauhor)王のものであることがついに判明した。

 エジプト考古最高評議会のザヒ・ハワス(Zahi Hawass)事務局長は記者団に対し、「われわれは山ほど砂を除去しなければならなかったが、このピラミッドは第5王朝のもので、(同時代で)発見されていなかったピラミッドはメンカウホル王のものだけ」と述べた。

 ハワス事務局長と若いエジプト人考古学者のチームは、1年半かけてピラミッド跡の地下トンネルの発掘を行った。

 同事務局長によると、ピラミッドの建造にもともと使われていた石は、カイロでの建設のために持ち去られたという。

 発掘により、このピラミッドの巨大な石が組み合わされてできた下部構造が明らかとなった。また、王家の埋葬室の跡が見つかったが、残されていたのはサルコファガス(石棺)のふただけだった。

 このピラミッドは高さ45メートルで、ギザ(Giza)の3大ピラミッドで最大の、クフ(Kheops)王のピラミッドの約3分の1にすぎない。

 サッカラの広大な台地の墓地遺跡にある謎に包まれていたこのピラミッドは、ドイツ人考古学者のカール・レプシウス(Karl Lepsius)が、1842年に調査したピラミッドのリストで29番と名付け、以来その主が論争の的となってきた。メンカウホル王のものとする説がある一方でもっと最近の王のものだという主張もあった。(c)AFP