【6月5日 AFP】(一部更新)フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれた子どもで、出生後に認知を受けたフィリピン国籍の10人が「父母が結婚していないことを理由に日本国籍を認めないのは違憲」として訴えていた裁判で、最高裁大法廷は4日、婚姻を国籍取得の要件とする国籍法の規定は違憲だとして、原告側の訴えを認める判決を下した。

 島田仁郎(Niro Shimada)裁判長は「日本国籍の取得は基本的人権の保障を受ける上で重要な意味を持つことから、この差別で受ける不利益は看過しがた」いと述べた。

 さらに、国籍法の規定が設けられた1984年当時には「父母の婚姻をその結び付きとみることに相応の理由があったので、要件と立法目的の合理的関連もあった」としながら、「この要件は今日の実態に適さない」と述べた。

 15人の最高裁判事のうち裁判長を含めた12人が、原告敗訴とした2審判決の破棄に賛成した。

 原告の1人、マサミ・タピル(Masami Tapiru)さん(10)は「日本人でしかかなえられない夢。警察官になりたい」と語った。

 マサミさんら10人の原告は、日本で生まれ、日本語しか話せないにもかかわらず、父親が認知したのが出生後だったために日本国籍が認められなかった。国籍法では、婚外子は誕生する前に父親が認知することを国籍取得の条件としている。

 今回の判決で、日本に数千人いるとみられる同様の境遇の子どもたちに国籍を認める動きが高まるとみられる。(c)AFP/Harumi Ozawa