【6月3日 AFP】3日にイタリアのローマ(Rome)で開幕する国連(UN)の食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)が主催する「食糧サミット」に向け、各国首脳が続々と現地入りする中、国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は2日、世界は「憂慮すべき岐路」にあると警告した。

 潘事務総長は、国連の国際農業開発基金(International Fund for Agricultural DevelopmentIFAD)のローマ本部で演説し、長年にわたる食糧価格の低下と生産量の増加に国際社会が慢心した結果、各国政府は農業開発の必要性を見落とし、厳しい決断を避けてきたと述べた。

 潘事務総長は、その上で、「今、まさにその報いを受けている」として、食糧危機について、「適切に対処されなければ、この問題は、世界の経済成長や社会発展、そして政治的な安全保障といった、さまざまな危機の連鎖の引き金となりかねない」と警告した。

 一方、会議への出席を表明したジンバブエとイランの両大統領に対して、国際的な非難と抗議が巻き起っている。

 オーストラリアのスティーブン・スミス(Stephen Smith)外相は、ジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領のローマ訪問について「不愉快」と表現した。また、英国政府も、大統領選挙の決選投票に政治生命をかけるムガベ大統領のまれな外国訪問を非難した。

 スミス豪外相は、「ムガベ大統領こそ、ジンバブエ国民の飢餓の責任を負う人物だ。そして、食糧支援を政治利用した人物だ」と述べた。

 ロンドン(London)では、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相の報道官が「ジンバブエでの食糧供給が困難になった一因である(ムガベ大統領が)会議への出席を決めたことは極めて残念だ」と述べた。

 また、イタリア国内では活動家や左派政治家、ユダヤ人グループらが、ムガベ大統領とイランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領に対して抗議行動を行った。(c)AFP/Gina Doggett