【5月29日 AFP】2003-06年にジョージ・ブッシュ(George W. Bush)大統領の報道官を務めたスコット・マクレラン(Scott McClellan)氏が、6月に発売される新著の中で、イラク戦争について「不必要なもので、欺まんに満ちたプロパガンダによって国民に売り込まれた」などと厳しく批判していることが明らかになった。米メディアが28日報じた。

 マクレラン元報道官は、341ページにわたる回想録「What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception(何が起こったのか――ブッシュ政権の内幕とワシントンの欺まんの文化)」の中でブッシュ政権を痛烈に批判している。

 政治関連の記事を扱うウェブサイト「ポリティコ(Politico.com)」によれば、マクレラン氏はイラク戦争について「不必要な戦争」「戦略上の大失敗」と述べ、大統領の側近らが不都合な真実に目をつぶって戦争に突き進んだと非難。今でもブッシュ大統領を尊敬しているとしつつ、「大統領と側近たちは、イラク戦争をめぐって国民の支持を取りつけ、維持するために欠かせない率直さと誠実さを、政治的プロパガンダと混同した」として、国家安全保障分野の側近たちの過失を指摘しているという。

 マクレラン氏は報道官時代、記者会見などでブッシュ政権の政策を擁護する立場を取っていた。

 マクレラン氏はまた、2005年のハリケーン「カトリーナ(Katrina)」で甚大な被害が出たことについても、側近たちが「最初の1週間の見ぬふりで過ごした」と糾弾。「米史上最悪の自然災害が、ブッシュ大統領の最悪の大失策になってしまった。大統領がそれ以前に行った決定、特にイラク問題で率直になろうとせず、戦後に備えることもないまま誤った計画に基づいて戦争に走ったことが、カトリーナの大惨事の受け取られ方をさらに悪くした」と述べている。

 また、コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官について「どれほど事態が悪化しても決して自分の手を汚さなかった」「問題を察知した上で順応し、気の滅入るような問題は避け、自分をスターのように見せる方法を熟知している」などと、ディック・チェイニー(Dick Cheney)副大統領については、まったく痕跡を残さず裏で糸を引く「手品師」などと批判的に評しているという。(c)AFP