【5月27日 AFP】1994年のルワンダ大虐殺の際に「歌」を通じてツチ(Tutsi)人の虐殺をあおったとして扇動罪などに問われている元国民的歌手、シモン・ビキンディ(Simon Bikindi)被告(54)の論告求刑公判がタンザニアのアルーシャ(Arusha)にあるルワンダ国際犯罪法廷(International Criminal Tribunal for RwandaICTR)で26日行われ、検察側は終身刑を求刑した。

 被告は、虐殺の主役となったフツ(Hutu)人出身。起訴状によると、被告が歌う3つの歌は、ツチ人排除に向けフツ人の団結を促す内容で、ツチ人と彼らに同情を寄せるフツ人を殺害せよとの歌詞が含まれていた。被告は扇動や殺人共謀などの罪に問われている。

 これに対して被告は「平和と民主主義を呼びかけるために歌った」と主張している。

 検察側は「被告は有名人で影響力を持っていた。大衆を虐殺に駆り立てた大きな力になったことには疑いの余地がない。このような重大な罪に見合う罰としては終身刑以外にない」と主張した。

 これに対し弁護側は「検察側が提示した証拠は矛盾だらけ」と反論。証言台に立ったビキンディ被告は「判事のみなさんは、ここに1人の罪のない人間が立っていることに気付いているはず」と述べた。

 被告は2001年にオランダで逮捕され、2006年9月に公判が開始。当時のハビャリマナ(Juvenal Habyarimana)大統領と密接なつながりがあったとされる。(c)AFP