【5月24日 AFP】第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で23日、出品作の中で最も素晴らしい演技をした犬に送られる、パルム・ドール(Palme d’Or)ならぬパルム・ドッグ(Palm Dog)の授賞式が行われ、「ある視点」部門出品作『Wendy and Lucy』に出演した雑種犬ルーシーにこの栄誉が与えられた。

「レディース・アンド・ジェントルマン、オスイヌ・アンド・メスイヌ――」。同賞の審査委員長を務めるトビー・ローズ(Toby Rose)氏の言葉で授賞式は始まった。式には50人と小型犬1匹が出席した。

 ルーシーは『Wendy and Lucy』のKelly Reichardt監督の飼い犬で、狩猟犬とレトリバーとの雑種だ。映画の中でルーシーは、飼い主とともにアラスカ(Alaska)に向かう。その途中で飼い主は、ドッグフードを盗んだ罪で逮捕されてしまう。

 ルーシーは、監督が暮らすニューヨーク(New York)のクイーンズ(Queens)地区にある自宅でお留守番のため、授賞式では監督が代わりに、パルム・ドッグと書かれたキラキラ光る首輪を受け取った。

 11匹のノミネート犬の中から、2位に相当する審査員特別賞を受賞したのは、「ある視点」に出品されたコメディ『O’Horten』に登場したモーリー。同作品のメガホンを取ったノルウェーのベント・ハーメル(Bent Hamer)監督も、モーリーに変わって授賞式に出席した。

 ローズ氏は同賞を設けた理由を、「犬は映画にとって非常に重要な存在だが、完全に忘れられるため」と語る。さらに今年の映画祭は、オープニング作品『ブラインドネス(Blindness)』で登場した犬がジュリアン・ムーア(Julianne Moore)の頬をなめ、イスラエルのアニメドキュメンタリー『Waltz With Bashir』が、うなり声を上げる犬の集団が通りを駆け抜けるオープニングシーンで犬の仲間意識を最大限に表現するなど、犬が素晴らしい演技を見せた年になったと語った。

 同氏はAFPのインタビューに対し、いつかパルム・ドッグがパルム・ドールの名声を越える日が来ると確信していると語った。(c)AFP

カンヌ国際映画祭の公式ウェブサイト(英語)