【5月24日 AFP】(一部訂正)19世紀フランスの詩人アルチュール・ランボー(Arthur Rimbaud)が16歳の時に地元の新聞に投稿したおよそ50行にわたる作品が、ランボー生誕の地フランス南西部シャルルビル・メジエール(Charleville Mezieres)で見つかった。地元書籍販売人が22日明らかにした。

「ビスマルクの夢」と題されたこの作品は、1870年11月25日の地元紙「プログレ・デザルテンヌ(Le Progres des Ardennes)」にジャン・ボードリー(Jean Baudry)の名前で掲載された。ボードリーはランボーが用いた筆名の1つ。

 普仏戦争中にプロイセンのオットー・フォン・ビスマルク(Otto von Bismarck)宰相を題材にした愛国的作品。

「夕刻、天蓋の下で、沈黙と夢に満ち、ビスマルクはめい想する、フランスの地図に指をおいて」

 この作品は、シャルルビル・メジエールの書籍販売人フランソワ・キナール(Francois Quinart)氏が高齢の女性から買い上げた本や新聞の入った箱の中にあった。キナール氏はランボーの詩が掲載されていることに気付かず、新聞を各地のブックフェアや催しに出展した。

 それを今年4月、ランボーのドキュメンタリー映像を撮った若い映像作家パトリック・タリエルシオ(Patrick Taliercio)氏が数十ユーロで購入。2日後、タリエルシオ氏はキナール氏のところにやって来て、「この記事を見たか、ランボーだ!」と言ったという。

 フィガロ(Figaro)紙が報じたところによると、ランボー研究家のジャン=ジャック・ルフレール(Jean-Jacques Lefrere)氏もこの作品は本物だと認めたうえで「これはよくできた隠喩(いんゆ)的作品で、本当の熟達を示している」とし、地元に埋もれたランボー作品がさらに見つかることが期待されると語った。(c)AFP