【5月17日 AFP】(写真追加)12日の四川大地震では、四川(Sichuan)省のJuyuan中学校が倒壊してこれまでに生徒数百人が死亡した。付近の建物は倒れていないのに、なぜこの4階建ての校舎だけ?という疑問に対し、地元の人々はただ一言、「腐敗さ」と答える。

「建材をご覧なさいよ。セメントと水の配合は適切じゃないし、鉄筋の数も少ない。砂も薄汚れている」と、住民の1人は言う。

 この地震では5万人以上が犠牲となったとみられているが、その中でも授業中に学校の下敷きになって死亡した子どもが目立って多い。四川省では倒壊した学校が約7000棟にも及び、倒壊建物の種別としてはダントツに多い。

 その原因として、汚職に絡んだ手抜き工事が指摘されている。国営メディアは、国内の建設業者が建材の質を落としたり必要な工事を省略したりして利ざやを稼ぎ、役人には口止め料を支払っている可能性があると指摘している。

 このため関係閣僚は16日、こうした手抜き工事と学校倒壊の多発との因果関係について調査を開始したと発表した。そのような事実が確認された場合は、厳しく処分するという。

■Juyuan中学校の建設に汚職の影

 Juyuanでは、ほとんどの建物が損傷を受けたとはいえ、Juyuan中学校のようにぺちゃんこになった建物はない。中学校は、14年前に建てられたばかりだった。 

 中学校の建設は、自治体の教育予算から賄われ、ある請負業者に委託された。この過程で(汚職がらみの)手抜き工事が行われたのではないかと住民たちはささやき合っている。

 中学校のがれきの下にはまだ900人が埋まっていると見られている。(c)AFP/Peter Harmsen