【5月17日 AFP】(写真追加)12日の四川大地震発生時、米国人のロバート・リトワック(Robert Litwak)さん(55)らは、ジャイアントパンダの囲いの中にいた。彼は、「その時」をまさにパンダと共有していたのだ。

 世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)職員のリトワックさんら総計12人の米国人ツアー団体はその日、四川(Sichuan)省の臥龍ジャイアントパンダ自然保護区(China Conservation and Research Center for the Giant Panda in Wolong Nature Reserve)を訪問していた。

「現実離れした光景だった。地面がグルグル回り、倒れまいと踏ん張った。見上げたら、パンダも同じように木にしがみついていたんだ」と、リトワックさんは振り返る。

 地震では5万人以上が死亡したとみられており、500万人が家を失った。保護区は震源地から10キロしか離れていないにもかかわらず、一行も、保護区の86頭のパンダも、ケガ1つなかった。

 リトワックさんは、3つの地滑りを目撃した。180メートル先の地滑りは岩なだれを伴うもので、道路を破壊した。また、わずか15メートル先で地滑りが発生した時には、パンダが飲み込まれることを覚悟したという。

 地震発生直後、観光客ははしごに上ったり橋を渡ったりして逃げまどった。保護区の職員たちは、観光客全員の無事を確認したあとで、パンダの保護に奔走した。子パンダを抱えては安全な建物の中に入れるという作業だったという。

 リトワックさんら一行が臥龍村に戻ってみると、宿泊先のホテルは閉鎖されていた。そこで駐車場に停めてあったバスの中で3日間過ごした。15日の朝にヘリコプターで救出され、州都の成都(Chengdu)に向かったという。(c)AFP/Marianne Barriaux