【5月16日 AFP】(写真追加)19世紀末の英国を震撼(しんかん)させた連続猟奇殺人犯「切り裂きジャック(Jack The Ripper)」の展覧会が15日、ロンドン(London)のドックランズ博物館(Museum in Docklands)で開幕した。同博物館は、1888年から1891年の間に11人の売春婦が「切り裂きジャック」の犠牲となった現場の近くにある。

「切り裂きジャックとイーストエンド(Jack The Ripper And The East End)」と題された展覧会では、切り裂きジャック直筆の手紙や、これまで非公開だった警察の捜査資料などが展示されている。

 切り裂きジャックの犠牲となった女性は皆、酒場が密集するイーストエンドのホワイトチャペル(Whitechapel)地区で売春を行っていた娼婦たちだった。

 展示品の1つ、「切り裂きジャック」が新聞記者に送った手紙には、「俺は娼婦が大嫌いだ。奴らを切り裂き続けてやる。警察が俺を捕まえない限り。敬具 切り裂きジャック」と赤色のインクで書かれている。このほかにも、凶器とみられるナイフ、容疑者の写真、犠牲者の遺体を発見した警察官による調書などが、史上初めて一般公開されている。

 こうした身の毛もよだつ詳細な情報とともに、展覧会では切り裂きジャックの恐怖が、当時のロンドンの貧困地区、イーストエンド(East End)の惨憺たる状況をあらわにしていった過程も理解できるよう工夫されている。 

 「切り裂きジャック」は捕まっておらず、これまで、様々な人物の名前が「真犯人」として取りざたされてきた。

 推理作家のパトリシア・コーンウェル(Patricia Cornwell)は2002年の著書のなかで、英国の画家ウォルター・シッカート(Walter Sickert)を犯人とした。そのほか、ビクトリア女王(Queen Victoria)の孫クレランス公(Duke of Clarence)の名前も挙がったこともある。しかし、連続猟奇殺人事件の真相は今も闇の中だ。

 この展覧会は11月2日まで行われる。(c)AFP