【5月8日 AFP】米国では、同性愛者のカップルが「代理母」を雇って子どもをもうけるケースが増えている。

 ニューヨーク(New York)のチェルシー地区に住むアイデルマンさん(Michael Eidelman)とヴィンセントさん(A.J. Vincent)は、数年前、貯金をはたいて「子作り」の一大事業に乗り出した。

 2人の精子とワシントン州の女性から提供された卵子を体外受精させ、この受精卵をオハイオ州の女性の子宮に戻した。出産は同性愛カップルへの法的規制がゆるいロサンゼルス(Los Angeles)で行われ、双子が誕生した。双子は現在、2歳になる。

 アイデルマンさんも、ヴィンセントさんも、双子の生物学な父親ということになる。皮膚科医のアイデルマンさんは、「(代理母という手段は)毎日がチャレンジの連続だったが、こんなに報われたと思ったことはない」と喜びを語った。

■代理母をのぞむ顧客の80%は「同性カップル」

 子どもをもうけるにあたって2人が頼ったのは、卵子提供者や代理母の斡旋から法的・医学的なアドバイスまでを提供するCircle Surrogacy社だ。12年前の開業当初、同性愛カップルは全体の顧客の10%に過ぎなかったが、今や80%にも達し、出身地も29か国に及ぶ。これまでに世話をした同性愛カップルは250組以上という。

 同性愛者のベビーブームの到来で、ニューヨークの託児所や公園では、「2人の父親の間にできた子ども」はもはや珍しい光景ではなくなっている。

 だが、同性愛カップルの結婚が法的に認められている州はマサチューセッツ州だけだ。代理母の斡旋を行う同州ボストン(Boston)のNortheast Assisted Fertility Groupの社長は、「(同性カップルが子どもを作ることは)奇妙なことではなくなった。同性カップルの客は増えているし、アジアからも中東からも欧州からもやってくる。もはやセレブだけのものではない」と話す。

■増え続ける「同性カップル+子ども」の家族形態

 子どもを作るプロセスには、最低でも10万ドル(約1000万円)以上かかる。その内訳は、2万5000ドル(約250万円)が代理母への報酬、4000-1万ドル(約40万-100万円)が卵子提供者への報酬で、残りは斡旋業者への支払い、医療費や法的手続きにかかる費用だ。 

 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)によると、「養子縁組」を含め、同性愛カップルを両親に持つ18歳未満の子どもは全米で100万から900万人にものぼるという。

 ハンター・カレッジ(Hunter College)のある心理学者は、「同性カップルを親に持つ子どもは、異性カップルを親に持つ子どもと同程度に幸せを感じていることが調査で明らかになっている」と語っている。「子どもが必要としているのは、安全で安心、かつ愛のある家庭なのです。家にいるのが2人のお母さんでも、2人のお父さんでも、1人のお母さんでも、1人のお父さんでも、そんなことは関係ありません」(c)AFP/Luis Torres de la Llosa