【5月6日 AFP】米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)の連邦裁判所で行われている旧アブグレイブ(Abu Ghraib)刑務所の収容者が起こした裁判で5日、米民間軍事会社の社員が5年前、バグダッド(Baghdad)の同刑務所に拘束されていたイラク市民に対する虐待に加わっていたことが明らかになった。

 訴えを起こしているのは、Emad Al-Janabiさん(43)ら旧アブグレイブ刑務所に数か月間拘束されていた人びとで、弁護を担当する米人権団体の「憲法権利センター(Centre for Constitutional RightsCCR)」の弁護士によると拘束期間中、Al-Janabiさんらは虐待を受けていたという。Al-Janabiさんは2003年9月に拘束されて以来、2004年7月に何の容疑も立証されずに釈放されるまで旧アブグレイブ刑務所にいたという。

 訴えられているのは民間軍事会社のCACI InternationalCACI Premier TechnologyL-3 Communications Titan Corporation、CACIと契約していたStephen Stefanowicz氏。旧アブグレイブ刑務所では、CACIは尋問官を、L-3 Communications Titan Corporation(当時はTitan、その後L-3 Communicationsが買収)は通訳を提供していたという。

 訴状によると、Al-Janabiさんは旧アブグレイブ刑務所で、兄弟やおいの模擬処刑を見せられたり、食事や睡眠を与えられないことが続いたり、犬をけしかけられたりといったような肉体的・精神的虐待を受けたという。

 CCRの弁護士は「民間軍事会社とその社員が行ったことは、戦争捕虜に関するジュネーブ条約(Geneva Conventions)や米陸軍野戦マニュアル(Army Field Manual)、米国法などに明確に違反している」とした上で、この裁判で「民間軍事会社が違法行為に対し刑事免責を受けることはできない」ということを示したいと語った。

 CACIは今回の訴訟だけでなく、2004年以降、複数の訴訟を起こされている。(c)AFP