【5月1日 AFP】幻覚作用のあるLSDの「父」として知られるスイスの化学者アルベルト・ホフマン(Albert Hofmann)氏が29日、死去した。102歳。当局が30日、明らかにした。

 ホフマン氏は、1929年から71年まで化学薬品メーカー「サンド(Sandoz)」に勤務していたが、呼吸器および循環器用の刺激剤を開発しようと薬草を研究し有効成分を合成していた際に、偶然LSDを「発見」した。

 治療薬としてのLSDの可能性を認識したサンド社は、47年にLSDを商品化。反応の乏しい精神障害患者の治療や、ほかの薬剤が効かない患者に使用された。

 60年代に入ると、特に米国で、作家や芸術家、ミュージシャンがLSDを多用し、「サイケデリック」と呼ばれるアートも誕生したが、米当局は66年にLSDの使用を禁止。その後、治療目的の使用も含めて世界的に違法となった。

 たった1万分の1グラムで幻覚症状を起こすLSDは、ほかの幻覚剤同様、過剰摂取すれば回復不能の障害を引き起こす可能性がある。

 一方、ここ数年、脳内でのLSDの効果を研究することによって、統合失調症の治療の改善につながる可能性があると指摘する専門家もいる。

 ホフマン氏は、常に自分の発見を謙遜(けんそん)し、LSDを医療目的以外で使用することに対し警鐘を鳴らしてきた。(c)AFP/William French