【4月28日 AFP】英国が誇る劇作家ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の作品が執筆から5世紀を経て、現代英語で書き直された。

 エリザベス朝の英語で書かれたシェークスピア作品の「現代語訳」を試みたのは、風刺作家のマーチン・バウム(Martin Baum)氏。学生がシェークスピア作品をより深く理解できるよう、15作品を「今の英語」で書き直し、『To Be Or Not To Be, Innit: A Yoof-Speak Guide to Shakespeare(生きるべきか死ぬべきか、って感じ?おれたちが読むシェークスピア)』と題した要約版にまとめた。
 
 翻訳には、中高年層にとっては悩みの種とも言える今の若者たちならではの曖昧(あいまい)な発音や、いい加減な文法を採り入れた。例えば『ハムレット(Hamlet)』は『アムレット(Amlet)』、かの有名なせりふ「生きるべきか死ぬべきか(To be, or not to be?)は「生きるべきか死ぬべきか、って感じ?(To be or not to be, innit?)」といった具合だ。

『ベローナの二紳士(The Two Gentlemen of Verona)』に登場する紳士は「やつら(geezas)」と書かれ、薄幸の恋人たちを描いた『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』の主人公ロミオは、「いかれたジュールス(fit bitch Jules)」に夢中だ。

 バウム氏はウェブサイトで、今回の現代語訳は要約だが、原作のエッセンスはなくさないようにしたと語っている。例えば、「女性差別、うそ、男装女装、はびこる暴力」といった要素をしっかり採り入れたという。

 英国南部ボーンマス(Bournemouth)の地元紙「ボーンマス・デーリー・エコー(Bournemouth Daily Echo)」のインタビューでバウム氏は、「別に十字軍を気取っているわけじゃない。でも、シェークスピアへの関心を高めることができたら、悪くないんじゃないかなと思ったんだ」と翻訳の理由を明かしている。

「インテリが読んだら怒るだろうね。(現代語訳を読んで)笑ったりしたら不謹慎だと連中は思うんじゃないかって、ある読者に言われたよ」。(c)AFP