【4月27日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長(65)は欧米諸国に対し、北京五輪を控える中国への人権問題を振りかざした非難を中止するよう呼びかけた。26日の英経済紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が伝えた。

 ロゲ会長は同紙のインタビューで、「われわれには、中国に時間を与える義務がある」と語った。

 会長は、「西欧社会が現在に至るまでフランス革命から200年を要した。中国は1949年に建国したばかり」と指摘し、西欧諸国の強い思いはよく理解できるものの、中国に急激な変化を期待するのはいかがなものかと述べた。

 さらにロゲ会長は、英国、フランス、出身国ベルギー、ポルトガルを例に取り、1949年当時共通して「植民地保有国として問題を抱えていた」との認識を示し、「ようやく植民地の独立を承認したのは40年前。もう少し謙虚な立場を取るべきでは」との見方を示した。

 ロゲ会長は「五輪が中国の社会の発展に貢献すると常々考えてきた。中国もそれを認めるだろう」と語り、北京五輪が「中国の門戸を開放する」役割を担うとの国際オリンピック委員会の立場をあらためて示した。

 チベット問題についてロゲ会長は、「北京五輪が無ければこの問題は新聞の一面ではなく4-5ページ目に掲載されたのではないか」と述べた。

 これまで果たした役割についてロゲ会長は、「国際オリンピック委員会は既に(中国社会の発展に)一定の成果を収めたが、各国首脳が我々よりも大きな役割を果たしたかについては疑問だ」と評価した。(c)AFP