【4月23日 AFP】国連(UN)世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)の食糧危機に関する臨時サミットが22日、ロンドン(London)で開催され、専門家らは、世界は静かに押し寄せる食糧価格高騰の「津波」に直面していると警鐘を鳴らし、将来的な食糧供給を確実にするため追加措置を行う必要があると訴えた。

 WFPによると、これまで支援を必要としなかった1億人が、新たに食糧を購入できなくなる可能性があると指摘。また、食糧価格の高騰は、最貧国での貧困対策と保健改善の取り組みを脅かし、WFPの予算29億ドル(約3000億円)に加え、7億5500万ドル(約780億円)がさらに必要となっているという。

 ジョゼット・シーラン(Josette Sheeran)WFP事務局長は、声明で「これは新たに飢饉(ききん)が発生していることを示している。6か月前には緊急に食糧を必要としていなかった数百万人が、現在は食糧を必要としている」とし、「緊急かつ長期的な解決策に焦点を絞った、大規模で高水準の国際的措置が必要」と訴えた。

 シーラン事務局長はその後、サミットに参加したほかの専門家24人とともに、英首相官邸(10 Downing Street)で行われた、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相主催の食糧危機に関する会議に出席した。

 協議後に首相官邸から発表された声明によると、専門家代表団は、食糧価格上昇へ対処し、最貧国への支援を増加させる世界的戦略に対し、主要国8か国(G8)および欧州連合(EU)と協力していくことを言明したという。

 英政府はこれに先立ち、5か年計画で実施される農業分野の研究費用8億ドル(約820億円)を含む、9億1000万ドル(約940億円)規模の経済支援を発表しており、支援団体や開発団体から歓迎されている。

 また、世界貿易機関(World Trade OrganisationWTO)と特に農業分野で協定を結ぶことで途上国を支援できる可能性や、バイオ燃料への取り組み見直しについても合意した。

 一方、すでに過去最大規模の1億6000万ユーロ(約260億円)の拠出を表明している欧州委員会(European CommissionEC)も、仏ストラスブール(Strasbourg)で1億1725万ユーロ(約200億円)の追加支援を発表した。(c)AFP/Phil Hazlewood