【4月22日 AFP】(一部更新)グルジア政府は21日、親ロシアでグルジアからの分離・独立を主張するアブハジア(Abkhazia)自治共和国上空を飛行していたグルジアの無人偵察機をロシア軍戦闘機が20日に撃墜したとして、ロシアを非難した。

 同事件について、ミハイル・サーカシビリ(Mikheil Saakashvili)グルジア大統領は同日のテレビ放送のなかで、ロシア軍のミグ29(MiG-29)戦闘機が無人偵察機を撃墜した証拠があると主張。事件は「グルジア領土における主権の侵害だ」として、ロシアを非難した。

 また、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と電話で会談し、アブハジアの独立派への支援を中止するよう求めたが、会談の内容は厳しいものだったことを明かした。

 プーチン大統領は、領空侵犯とのグルジア政府の主張を否定。さらに、ロシア政府によれば、グルジア戦闘機が度々、アブハジア上空を組織的に飛行しているとの懸念を表明したという。一方で、同政府は、事件そのものについてはコメントしていない。

 グルジア政府は、撃墜された偵察機のレーダーに、アブハジア空軍基地から飛び立ったミグ29戦闘機の機影が映っていたと主張している。

 一方、ロシア空軍はインタファクス(Interfax)通信に対し、「ミグ戦闘機のパイロットは事件当日、休暇中だった」として撃墜疑惑を否定している。

 同事件については、当初、アブハジアの戦闘機が撃墜したとの情報もあったが、グルジア政府は、同自治共和国は該当する戦闘機を保有していないとして、情報を否定した。

 こうした事態に対し、米国務省のトム・ケーシー(Tom Casey)副報道官は、グルジア政府の主張は信頼に値するとしたうえで、事態を「非常に憂慮している」との声明を発表した。

 ロシアとグルジアの関係は、アブハジアや南オセチア(South Ossetia)の独立問題や、グルジアの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題をめぐり、近年、悪化の一途をたどっている。また、アブハジア問題では、グルジアは同共和国はあくまでもグルジアの領土であると主張し、不当にアブハジア領土内に軍を進攻させているとして、ロシアを非難している。(c)AFP/Irakli Metreveli