【4月20日 AFP】パラグアイで史上初めて女性候補が立候補している大統領選の投票が20日朝、開始された。世論調査からは、元カトリック司教のフェルナンド・ルゴ(Fernando Lugo)候補(56)の優勢が予測されている。同日、議会選も行われる。

 パラグアイは1989年に35年間続いた軍事独裁政権から脱した比較的新しい民主体制で、民政移管後初の大統領選が行われたのは1993年。憲法は大統領の再選を禁じており、今回の選挙では5年の任期を満了するニカノル・ドゥアルテ・フルトス(Nicanor Duarte Frutos)大統領の後継者を選出する。
 
 最有力視されているルゴ氏は「変革」を掲げる野党連合、Patriotic Alliance for Changeを率いる。周辺の中南米諸国で扇動的な左派政治を行うウゴ・チャベス(Hugo Chavez)ベネズエラ大統領やエボ・モラレス(Evo Morales)ボリビア大統領、そして2人の掲げる「貧者のための政策」への称賛を隠さない。

 今回の大統領選にはほかに、初の女性大統領候補であるブランカ・オベラル(Blanca Ovelar)前教育相(51)、クーデター未遂で逮捕・収監された過去のあるリノ・オビエド(Lino Oviedo)元陸軍司令官(64)が出馬し、接戦を演じている。

 最新の調査では、ルゴ候補の支持率が34%で1位。以下、オビエド候補29%、オベラル候補28.5%と僅差で続いている。決選投票はなく、1回の選挙結果で当選者は確定する。

 投票は午前7時(日本時間午後8時)から全国1万4800か所の投票所で開始された。有権者280万人の約18%を占める海外在住者は投票できない。

 次期大統領の就任後、最も急を要する課題は国内の腐敗だ。政権自らが問題を抱える現職のドゥアルテ大統領は、腐敗根絶にほとんど取り組んでこなかった。また、周辺のブラジル、アルゼンチン、ボリビアなどへの電化製品やタバコなどの密輸撲滅も課題だ。

 野党側は大統領選における不正を警戒しているが、ドゥアルテ大統領は野党寄りのメディアによる根拠のない疑惑だと反論した。選挙委員長も不正の可能性を排除し、「公明正大」な選挙だと述べた。

 選挙はコロンビアのエマ・メヒア(Ema Mejia)元外相を含む米州機構(Organization of American States)が派遣する70人の監視のもとで行われる。有権者登録所の主任Jorge Acosta氏によれば、投票率は72%前後になると予測されている。(c)AFP/Laurence Thomann